中華DCリールがなぜ登場したのか?

※今回はリールの紹介では無いです。

少し前から、中華製のDCリールが多数発売される状況となっている。
国産リールでは、DAIWAのIMZなどが最近では登場したが、その前まではシマノのDCリールが市場を席捲していた。

DCリールは非常に高価で、試してみたいけど高くて手が届かない状態となっていた。
もちろん廉価機種にもDCが搭載されていたが、出来ればハイエンドのDCリールを試してみたいと言うのか、ユーザの心情ではないだろうか。

そこに来て中華DCリールの登場である。

発売当初は1万5千円~3万円ぐらいの価格であったが、最近では5千円台のDCリールまで登場し、DCリールを手軽に試せる時代になっている。

そこで疑問なのが、なぜシマノが搭載していたDCユニットとよく似たDCリールが出せるの?
という所を深堀したいと思う。

1. シマノのDCブレーキ特許とは?

シマノは2003年に**世界初のデジタルコントロール(DC)ブレーキ搭載リール「カルカッタコンクエストDC」**を発売し、関連する特許を取得した。

代表的な特許内容(例):

  • 回転センサーでスプールの回転速度を検知
  • マイコンで計算し、適切なタイミングで磁力ブレーキをON/OFF制御
  • キャスト時の回転エネルギーを電力に変換して外部電源不要

🧾 登録番号の一例(日本国内特許):

  • 特許番号例:JP2004-350634B2(優先日2003年、出願日2003年、登録2004年)

2. 特許の保護期間

  • 日本および多くの国で特許保護期間は出願から20年。
  • 2003年優先出願の場合、2023年前後で満了となる。

このため、シマノのDC制御の基本技術に関しては、満了後に他社も類似技術を自由に利用できる状況になったと考えられる。


3.中華DCリールが登場した理由

  • 特許満了:DC制御の基本特許が使用可能になった
  • 電子部品の低価格化・小型化:マイコン、ホールセンサー、磁力制御ユニットの普及
  • ODM/EMS製造体制の成熟:中国の製造・設計能力が向上
  • その結果、2020年代に入ってAliExpressなどで「DCブレーキ搭載」を謳う中華製リールが急増している。これらは「基本構造を再現した第一世代DC」と考えられ、シマノの最新モデルとは制御精度・静音性・モード切替などで差がある。

4. 注意点

シマノは現在でも高精度化・静音化・多モード化などで新たな特許を取得中。

中華製DCリールはあくまで基本技術を利用しており、最新特許の範囲は避けられている可能性が高い


まとめ:なぜ中華でDCリールが登場したのか?

要因内容
技術要因シマノ2003年優先のDC特許が2023年頃に満了
法的要因基本特許が満了したため他社が合法的に類似技術を使用可能
タイミング電子部品の低価格化・小型化と製造体制の成熟が重なった
結果2020年代以降、中華メーカーが低価格DCリールを次々投入

※ダイワのIMZの発売も2023年4月となっている。

補足:シマノはどう動いているか?

  • シマノは今もDC制御技術の改良特許を追加取得中で、中華製品とは性能や制御の細部で明確な差を維持している。
bassmania

バス釣り歴20年以上。 ロッドビルド歴10年以上。

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