昨今、軽いロッドが正義という風潮が広がっているが、これについて一つの見解を書いてみたい。これはあくまで個人的な考え方であり、異なる意見もあると思うが、ロッド選びの参考として捉えてもらえればと思う。
ロッドを語る上で大切なのは、単なる重量だけではなく「センターバランス」である。
ロッドを水平にし、指を1点に置いてバランスが取れる位置がセンターバランスになる。これがリールの前にあると先重り感が強まり、逆にリールの後ろにあると先重り感は減少する。
いくらロッドが軽量でも、センターバランスがリールより前にあるとテコの原理で先端が重く感じる。一方、ロッドが多少重くても、センターバランスがリール位置付近にあると軽快に扱える。
購入時には重量数値よりも、センターバランスの位置を意識した方が実際の操作感に直結する。
一般的にロッドを軽量化する方法として、以下がある。
軽くなるが、脆さやトルク不足のリスクがある。
強度確保のために薄巻き化が必要になり、やはり強度不足が発生しやすい。
ただし、最近のトレカT1100g、M40Xなどは従来素材よりも強度が高い
ステンレスからチタンへ、リングをトルザイトへ。感度と軽量化は向上するが、コストが高い。
見かけ上軽くはなるが、センターバランスは前に寄るので先重り解消にはつながらない。
この中でセンターバランスの改善につながるのは①〜③であり、どれも一定のデメリットを伴う。
軽量ロッドは操作性・感度面では確かに有利だが、疲労の観点では単純に軽ければ良いとは言えない。
ロッド(100g)とリール(150g)を構えた状態では、常に250gの質量を支えている。ここにルアーの引き抵抗が加わると、ロッド先端方向にトルクが発生する。このとき、
つまり、適度なルアー抵抗がロッド重量を相殺してくれると、むしろ疲れにくいことがある。これが巻物で「少し重いロッドの方が安定して楽」と感じる理由の一つである。
ロッドは支点(手元)を中心としたテコである。長いロッドほど、同じ引き抵抗でも手首にかかるトルクは大きくなる。
6ftより9ftの方が「同じ抵抗を重く感じる」のはこのためだ。
よって、短尺ロッドでは軽量化が素直に効きやすいが、長尺ロッドでは軽量化だけでは不十分で、重心位置や慣性とのバランス設計が重要になる。
「軽量=正義」は間違いではないが、すべてにおいて最上ではない。大切なのは、自分の釣りスタイルに合った重量とバランスの最適点を見極めることだ。