〜Fuji指標をそのまま使うか、独自間隔にするか〜
ロッドビルディングにおいて、ガイドセッティングは性能を決定づける最も重要な要素です。
特にスピニングロッドでは、ライン放出やブランクの復元力に直接関わるため、ガイド位置の精度がロッド性能を大きく左右します。
その中でもFuji工業のKRコンセプトは、現代スピニングロッド設計の基本理論となっています。
ただし、個人でビルドする場合に「Fujiの推奨間隔をそのまま使うべきか?」「ブランク特性に合わせて調整すべきか?」という悩みは避けて通れません。
以下では、KRコンセプトをベースにしたFuji指標通りの配置と独自間隔配置の違い、
さらにスピニングロッドでの実践的な間隔の決め方を解説します。
KRコンセプトはFuji工業が提唱するスピニングロッド専用のガイド設計理論です。
小口径・軽量・低重心化を前提に、リールから放出されるラインループをスムーズに収束させ、
飛距離・感度・トラブルレス性を同時に高めることを目的としています。
KRコンセプトの理論自体は完成度が高いものの、
最終的な性能を決めるのは**ガイドの間隔設定(spacing)**です。
まずFujiのKRコンセプトチャートを参考に、バット〜チョークガイドまでを指標通りに仮留めします。
この区間はライン収束角と放出抵抗を決定づける最も重要部分であり、原則として変更しません。
想定ルアー負荷(例:1/4〜1/2oz)で水平〜45°に曲げ、ブランク全体のカーブを観察します。
スピニングロッドの場合、ラインはガイド下を通るためブランクには触れません。
確認すべきは、ガイド間でブランクが自然な連続曲線を描いているかどうかです。
ここが最も重要な工程です。
この調整によって、ブランク全体が均一な力で曲がるようになり、パワー伝達がスムーズになります。※ガイドが足りない場合はここでガイドを足す
実際にキャストして、ライン放出の“抜け感”や“糸鳴り”を確認。
必要に応じて、チョーク以降の間隔を1cm単位で微調整します。
この最終ステップで、KRコンセプト本来の“伸びのあるキャストフィール”が完成します。
メリット
デメリット
👉 個人ビルダーに最もおすすめ。
Fuji理論を“骨格”として使い、ベリー〜ティップ側で個性を出す。
メリット
デメリット
KRコンセプトにおけるスピニングロッドの設計では、
Fuji指標はバット〜チョークまでを基準とし、チョーク以降はブランク実測で微調整するのが最適解です。
| 比較項目 | Fuji指標通り(全体) | 独自間隔(チョーク以降調整) |
|---|---|---|
| 設計安定性 | ◎ | ○ |
| トラブルレス性 | ◎ | ○〜◎ |
| 感度 | ○ | ◎ |
| 軽量化効果 | ○ | ◎ |
| 応力分散 | ○ | ◎ |
| キャストフィール | ○(平均的) | ◎(調整自在) |
| 再現性 | ◎ | △ |
| 製作コスト | 安価・短時間 | 高コスト・要経験 |
🔧 ポイントまとめ
- スピニングロッドでは曲げた時にラインはブランクに触れないため、曲がりの連続性を重視
- ガイドを詰めすぎるとパワーが活きない、広げすぎるとパワーが抜ける
- Fuji基準はバット〜チョークまで、ティップ側は実測調整
- KRコンセプトは「理論7割+感覚3割」で仕上げるのがベストバランス