国内でロッドビルドをしていると、まず感じるのは情報の少なさです。
ロッドを自分で触る人は少ない。
では、海外ならどうなのか。
海外、特にアメリカならロッドビルダーも多いのではないかと思います。
ただ、海外の情報を見ていくと、少し違う見え方になります。
海外でも、ブランクから一から組むフルビルドは少数派。
ただし、既存ロッドの修理や改造は日本より身近に見えます。
この違いが、海外のロッドビルド事情を見る上で重要だと思います。
個人的には、日本の方が釣り人口の比率は高いと思っていました。
日本は海に囲まれており、内陸にも川や池が多いです。
釣りをする環境だけで見れば、日本もかなり恵まれていると思います。
ただ、数字を見ると違いました。
| 区分 | 総人口 | 釣り人口 | 釣り人口比率 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 約3億4,180万人 | 約5,790万人 | 約16.9% |
| 日本 | 約1億2,281万人 | 約540万人 | 約4.4% |
人口だけを見ると、アメリカは日本の約2.8倍です。
しかし釣り人口で見ると、アメリカは約5,790万人、日本は約540万人で、約10.7倍の差があります。
つまり、単純な人口差以上に、釣りをしている人の母数に大きな差があります。
日本は海に囲まれているため、感覚的には日本の方が釣り人口比率が高そうに思えます。
ただ、アメリカの釣り人口を見ると、2024年時点で淡水釣りだけで 4,300万人超、海釣りが 約1,510万人 です。つまりアメリカの釣り人口の中心は、海ではなく淡水です。
湖、川、リザーバー、キャンプ、ボートと結びついた釣りがレジャーとして広く成立している。
そのため、単純な人口差以上に釣り人口の差が出ているのだと思います。
国内でロッドビルドと言うと、既存ロッドの改造と、ブランクから一から組むフルビルドが、まとめて語られる事があります。
ただ、海外の情報を見る時は、ここを分けた方が分かりやすいです。
・既存ロッドを直す、触る、改造する人。
・ブランク、ガイド、リールシート、グリップを選んで一から組む人。
この2つは近いようで、かなり違います。
海外では前者の入口は広い。
しかし後者のフルビルドは、海外でも少数派だと思います。
ロッド改造人口やフルビルド人口は、釣り人口のように公的な統計があるわけではありません。
そのため、ここでは釣り人口、釣具店の品揃え、海外掲示板の話題量から見た推定として考えます。
| 区分 | アメリカ | 日本 |
| 釣り人口 | 約5,790万人 | 約540万人 |
| 修理・改造経験者 | 1〜5%程度 | 0.2〜1%程度 |
| フルビルド経験者 | 0.1〜0.5%程度 | 0.02〜0.1%程度 |
| 継続的なフルビルダー | 0.03〜0.2%程度 | 0.005〜0.03%程度 |
人数にすると、このくらいになります。
| 区分 | アメリカ推定 | 日本推定 |
| 修理・改造経験者 | 約58万〜290万人 | 約1万〜5.4万人 |
| フルビルド経験者 | 約5.8万〜29万人 | 約1,000〜5,400人 |
| 継続的なフルビルダー | 約1.7万〜11.6万人 | 約270〜1,600人 |
この数字は統計ではありません。
ただ、釣具店の品揃えを見ると、この方向性はかなり自然に見えます。
根拠メモ:アメリカの釣り人口5,790万人はRBFFの2025 Special Report系データ、日本の約540万人はレジャー白書2025ベースの2024年値です。
アメリカの大型釣具店では、ロッドティップ修理キットやガイド交換用パーツが普通に商品として出ています。
これは、フルビルド人口が多いという意味ではありません。
既存ロッドを直す。
古いロッドを修理する。
気に入らない部分を少し触る。
この入口が一般釣具店にもあるという事です。
一方で、ブランク、ガイド、リールシート、グリップ、スレッド、エポキシ、工具まで揃えて一から組む用品は、Mud Holeのような専門店に集まっています。
つまり、アメリカでもフルビルドは専門店寄りです。
ただし、修理・改造の入口は一般釣具店にもある。
ここが日本との違いです。
日本にもマタギ、ジャストエース、サバロ、大郷屋のような専門店はあります。
ただ、一般的な釣具店の売場で、ロッドビルド用品が大きく展開されている事は少ないです。
日本では、ロッドを自分で触る人は専門店や専門通販に寄りやすい。
アメリカでは、修理・改造レベルなら一般釣具店にも入口がある。
この差が大きいと思います。
釣具店側の根拠として、Bass Pro Shops にはロッドティップ修理キットや「一から組む/古いロッドを修理する」用途のガイドセットがあり、Mud Hole はロッドビルド用品の専門店として大規模に展開しています。
この前提で海外掲示板を見ると、話題の意味が分かりやすくなります。
海外掲示板にあるのは、フルビルドだけではありません。
ガイド交換。
ティップ修理。
グリップ補修。
リビルド。
ガイド配置。
スレッド。
ブランク選び。
こういう、ロッドを自分で触る人たちの普通の会話が残っています。
国内では見えにくい悩み方や、別の選択肢、失敗例が出てくる。
海外ロッドビルドの記事で拾いたいのは、海外の正解ではありません。
海外のロッドビルダーや釣り人が、普通に何を悩み、どこを触り、どう考えているのか。
そこを国内ロッドビルダー目線で見る事だと思います。
海外でも、フルビルドをするロッドビルダーは少数派です。
ただし、既存ロッドを修理したり、改造したりする入口は日本より広く見えます。
フルビルド人口が多いのではなく、ロッドを自分で触る文化の裾野が広い。
この前提で海外掲示板を読むと、日本のロッドビルダーにはない視点が拾えます。