バスロッドの中には「オールダブルフットガイド仕様」といった宣伝文句をよく見かけます。
しかし、ロッドビルドに携わる者としては「果たして本当にダブルフットガイドが必要なのか?」という疑問を持っています。今回はその点を掘り下げて考察してみます。
ダブルフットガイドの特徴
1. 前後での固定
ダブルフットガイドは、その名の通り前後2つのフットで固定します。
これによりガイドが「すっぽ抜ける」リスクが減るというのが最大の特徴です。
2. ブランクの固定化
シングルフットガイドは接着範囲が短いため、ブランクのしなりを妨げにくい構造です。
一方、ダブルフットガイドは前後でブランクを挟み込むため、比較的長い範囲が「曲がらない部分」となり、ブランク本来の曲がりを阻害します。
また、この固定部があることで、曲がったときの応力がその境目に集中しやすくなり、逆に破損リスクを高める要因にもなり得ます。
3. 重量が増える
フットが2本ある分、シングルフットよりも確実に重くなります。
特にティップ寄りに多用すると、感度や操作性の低下につながります。
シングルフットで十分なケース
実際のところ、キャスト時やファイト時に掛かるガイドへの負荷は、シングルフットガイドで十分対応可能です。
特に富士工業の KBガイド のような補強構造を持つものなら、強度面でダブルフットに劣るどころか、下手なダブルフットよりも信頼性があります。

ダブルフットが有効な場面
ではなぜダブルフットガイドが存在するのか。
現場のロッドビルダーや修理業者の声を聞くと、答えはシンプルです。
「すっぽ抜けにくい」から。
特にショアジギングやオフショアのようにPEライン+長いリーダーを使用し、リーダーをガイドに巻き込んでキャストするスタイルでは、ラインがガイドに絡むトラブルが起きやすく、その衝撃でシングルフットガイドが抜ける事例があります。
そのため、強度というより「抜け防止」としての役割が大きいのです。
バスロッドにおける必要性
バスフィッシングでは、PE+長リーダーを多用することは稀であり、ルアー重量もショアジギングほど重くありません。
そのため、「オールダブルフットガイド仕様」という売り文句には正直なところ疑問を感じます。
バスロッドにおいては、むしろシングルフット主体の方がブランク性能を活かせ、軽量で感度も良い仕上がりになります。
必要に応じてバット側だけダブルフットにするなどのハイブリッド構成が、理にかなった設計といえるでしょう。
まとめ
- ダブルフットガイドの本質的なメリットは「すっぽ抜け防止」。
- 強度そのものはシングルフットでも十分確保可能。
- バスロッドにおいて「オールダブルフット」は性能面より宣伝的要素が強い。
- ソルトのようにPE+重いルアーを使う場面では合理性がある。
結論として、「オールダブルフット=高強度」 という宣伝文句は鵜呑みにすべきではない というのが実際にロッドを触ってきた視点からの答えです。
※AIが回答するオールダブルフットガイドの実際のところ
- 「オールダブルフット=強度重視」自体は間違いではない
- ダブルフットは構造的に剛性が高く、ガイドが変形・脱落しにくい。
- 船上で荒く扱う、磯でぶつけやすい、PEラインで大物を獲る、といった「ハードユース環境」ではメリットになる。
- ただし、バスロッドでの“強度”は大げさ
- バス釣りで想定される魚(〜60cm前後、数kg程度)やライン強度(ナイロン/フロロ12〜20lb、PE2号以下)なら、シングルフットでも十分。
- ガイドが壊れる前に、むしろフックやラインの方が先に限界を迎える。
- 「強度を重視」というより「堅牢そうに見せたい」意図が強い。
- デメリットを隠している場合が多い
- オールダブルフットはガイド重量が増し、ブランクのしなりをスポイルする。
- 感度も落ちるし、キャストフィールも鈍くなる。
- これはバスロッドのように繊細な操作性を求める釣りではむしろマイナス。
- 「安心感マーケティング」
- 「オールダブルフット=壊れにくい」という言葉は、釣り具に不慣れな人にとっては説得力がある。
- 実際にはロッドの折損はブランクの応力集中や取り扱い不良によるもので、ガイド構造の強度だけで決まるわけではない。
- つまり、ロッド自体の設計思想やブランク性能を誤魔化す“キャッチコピー”に近い。
コメント