釣り業界では、数年前からトレカT1100Gなどと言うブランクスの素材が話題となっており、トレカT1100G搭載のロッドは非常に高価な価格で販売されている。
ユーザ側の目線からは、ハイエンドロッドに搭載されているハイエンドのブランクスと言う認識であるが、実際トレカT1100Gとは何なのだろうか?
今回は、ブランクス素材に出てくるトレカ®T1100Gについて詳しく見て行こうと思う。
トレカ®T1100G、トレカ®M40Xとは?
そもそも「トレカ®T1100G、トレカ®M40X」とは何かと言うと、東レが開発した第3世代のカーボン繊維(炭素繊維)の事である。
ブランクスやカーボンシート(プリプレグ)の事かと思いきや、カーボン繊維の名称がトレカT1100G、トレカM40Xと言う事みたいです。
トレカT1100G/Sと、M40Xはそれぞれ別物で、トレカT1100G/Sは高強度タイプの30トンのカーボン繊維で、M40Xは高弾性率タイプの40トンのカーボン繊維と言う事で、素材の種類がそもそも違う。

では何が違うかと言うと、第1世代、第2世代のカーボン繊維に対して、強度と弾性率のバランスを大幅に向上したカーボン繊維と言う事になります。


そもそも炭素繊維とは?
そもそも炭素繊維とは、炭素原子が結合してできた1本の直径が約5-7ミクロン(髪の毛の約1/10の太さ)の繊維状の材料であり、非常に軽量で強靭な特性を持っています。衣料品の原料で使われることの多いアクリル樹脂を繊維加工し、高温で処理することによって不純物を取り除き、炭素原子の含有率を90%以上にまで高めたものを炭素繊維と呼びます。
引用元トレカ®T1100G、トレカ®M40Xとは? | 炭素繊維複合材料 | 東レ

トレカ自体の種類はかなり多岐に渡る。
一覧表にはこれだけある。
一番右のスポーツに●がついているものの一部がブランクスに使われたりする。

トレカ®T1100Gとは
従来品よりも軽くて強い
前述の通り、T1100Gは従来の炭素繊維と比べて強さ(強度)と硬さ(弾性率)が大きく向上しています。
この特徴をご紹介するために、T700S、T800S、T1100G炭素繊維にエポキシ樹脂をしみこませたシート(プリプレグ)を使用して「同じ硬さの平板」を作製し、検証試験を行いました。硬い炭素繊維は柔らかい炭素繊維より少ない量で同じ硬さの板を作ることができるので、板の厚さや重さはT700S>T800S>T1100Gの順に小さくなります。

板の厚さと重さはT700Sの方が大きいにも関わらず、薄く軽く仕上がっているT1100G平板の強さ(強度)が高い結果となっています。
軽量に仕上がりたわみ戻りの速度が速くなる
たわみ戻りの速度は、たわんだ状態の位置から水平の位置に戻る速度で測定しています。硬さが同じ平板でありながら、重量はT1100Gが最も軽く仕上がっていることから、たわみ戻りも速くなります。
トレカ®M40Xとは
炭素繊維トレカ®M40Xの特長を解説します。
従来品より強い
一般的に炭素繊維は硬さを向上すると、強度が下がり脆くなる傾向があります。
M40XもT1100Gと同様に、強さと硬さについて、極限での両立を目指し開発した炭素繊維となっており、従来品M40Sの硬さを維持しながら、強さを約20%向上させた素材です。
トレカT1100G,M40Xのまとめ
T1100GとM40Xは、これまでの炭素繊維では難しいと考えられてきた強さ(強度)と硬さ(弾性率)を高いレベルで兼ね備えた素材です。これらを使うことにより、ゴルフシャフトや釣竿、自転車などのスポーツ用具のパフォーマンス向上が期待できます。

データシート | リソース | 炭素繊維複合材料 | TORAY
実際のブランクスに直接関係あるのはプリプレグ
トレカT1100gや、トレカM40Xは炭素繊維であって、ブランクスに直接使われているわけではない。
ブランクスはプリプレグと呼ばれるカーボンシートをマンドレルと言う鉄芯に巻き付けて焼成することで作成される。
このプリプレグの元になっている素材が炭素繊維+エポキシで、トレカT1100g+2574エポキシ、M40X+2574エポキシがブランクスの素材がよく見るトレカT1100Gと呼ばれるものの正体。
ナノアロイはエポキシ
ナノアロイはプリプレグに使用されているエポキシ樹脂に関する技術。
2574にはnanoalloyと記載されているので、プリプレグに2574が使用されているとナノアロイ技術搭載となる。

既にトレカ®T1200も開発
ちなみにトレカT1100のさらに10%以上の引張強度向上を実現した超高強度炭素繊維トレカ®T1200(強度:8.0GPa)も開発されている。
世界最高強度の炭素繊維トレカ®T1200を開発 | ニュースルーム | TORAY
