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マイクロガイドから見えてくる飛距離を伸ばすガイドセッティング

ガイド

マイクロガイドについては、軽量化や感度向上がよく挙げられます。しかしキャスト性能を見ると、別の興味深い結果が海外に残っています。

通常ガイドとマイクロガイドを比較したところ、ブレイドやナイロンでは明確な飛距離差が出なかったのに、15lbを超えるフロロカーボンではマイクロガイドの方が明確に飛んだというテストです。

なぜフロロだけ結果が変わったのか。

この実験を起点に海外ビルダーのガイドセッティングを追っていくと、リング径、本数、バットガイドの高さ、リールからの距離まで、一つの考え方でつながってきます。

13+1のMicroと9+1のStandardを比較

Ultimate BassではDobyns Savvy 734を使い、マイクロガイド仕様と通常ガイド仕様を比較しています。

Micro仕様は13個+トップ、Standard仕様は9個+トップ。同系統のCitica 200Eを使用し、ブレイド、フロロカーボン、ナイロンを交換しながらキャストしています。

条件StandardMicro
ロッドDobyns Savvy 734Dobyns Micro Savvy 734
ガイド9+トップ13+トップ
ラインBraid / Fluoro / Mono同条件
15lb超フロロ基準向かい風で約8~10ft遠投
ブレイド明確な差なし明確な差なし
ナイロン明確な差なし明確な差なし

特に差が大きかったのが15lbを超えるフロロでした。筆者は、太いフロロほどメモリーが強く、マイクロガイドによってline slapが減ったことを理由として挙げています。実際、フロロ使用時にはMicro仕様の方がラインの流れも滑らかに感じたとしています。

ここで重要なのは、すべてのラインでMicroが8~10ft伸びたわけではないことです。

明確な違いが出たのは太いフロロだった。

リングが小さいこと自体が単純にキャスト抵抗を減らしているなら、ブレイドやナイロンでも同じ方向の差が出てもよさそうです。

ところが実際の結果は違いました。

海外掲示板でもラインの硬さが指摘されている

2021年のBassResourceでも「Micro Guides Would Effect Casting Distance?」として、マイクロガイドと飛距離について議論されています。

WRB氏は、従来の7ftベイトロッドでは7個程度だったガイドが、マイクロガイドでは9個程度になる例を挙げています。そのうえで、適切に配置されたMicroとStandardの飛距離差は大きくなく、ガイド構成よりラインの硬さと直径の方が飛距離への影響が大きいとしています。

またWRB氏は、キャスト中のラインをスローモーションで見ると、ラインはガイド列の中を直線のまま通過しているわけではないと指摘しています。最初のガイドでラインを集め、次のガイドでさらにline whipを抑え、その後のガイドでブランクへの接触を抑えていくという説明です。

MickD氏もMicroの方が飛距離に多少有利だと感じており、小径ガイドによってラインが大きなループではなく、より小さな範囲へまとめられているのではないかと推測しています。ただし、この投稿について本人は測定データを持っていないと明記しています。

一方、Delaware Valley Tackle氏はline slapによる飛距離向上説には懐疑的です。つまり海外でも、マイクロガイドの飛距離向上について理論が確定しているわけではありません。

それでも、15lb超フロロだけ明確な差が出た実投結果は残っています。

なぜ太いフロロだけ差が出たのか

ここからは、これらの結果から考えられる推論です。

ベイトリールから放出されたラインを、完全な直線として考えると15lb超フロロだけ結果が変わったことを説明しにくくなります。

フロロカーボンはスプールへ巻かれている間に曲率(糸癖)が付きます。

キャスト中にはルアーがラインを引っ張るため、この曲率を伸ばそうとする力が働きます。一方、ラインには巻かれた状態へ戻ろうとする性質も残っています。

特にキャスト後半ではルアーが減速し、ラインへ掛かる張力も低下します。

このとき、

ラインを直線方向へ引っ張る力が弱くなる

一方で、

スプール上で付いた曲率の影響が表面化しやすくなる

と考えられます。

するとガイドとガイドの間で、ラインは単純に弛むだけではなく、上下左右へ波を作りながら通過する可能性があります。

太く硬いフロロほど、この影響が大きくなると考えると、Ultimate Bassの結果とよく一致します。

マイクロガイドは「膨らめる距離」を短くしたのではないか

Micro仕様は13+1、Standard仕様は9+1です。

つまりMicro仕様ではリング径が小さいだけでなく、ガイド間隔も短くなっています。

ここに15lb超フロロの結果を当てはめると、一つの可能性が見えてきます。

Standardではガイド間の自由区間が長いため、糸癖を持つフロロが次のガイドへ到達するまでに大きな波を作れる。

Microではガイド間隔が短いため、ラインの波が大きくなる前に次のリングで再び拘束される。

つまり、

マイクロガイドだから摩擦が小さくなった

というより、

フロロが大きく膨らむ前に、小径リングと短い間隔でラインを制御した結果、余計なline slapやリング進入時の抵抗が減った

のではないか、という推論です。

これはUltimate Bassの筆者自身が、太いフロロのmemoryとless line slapを結果の理由として挙げていることとも一致します。

また2022年のBassResourceでは、WRB氏がマイクロガイドについて「より多くのガイドでラインをブランクから離し、キャスト時のline slapを減らせる」とし、本人はストレートフロロを使ったマイクロガイド仕様のカスタムロッドを好んでいたと書いています。

ではガイドを増やすほど飛ぶのか

ここで単純に「ならばガイドを増やせば増やすほどよい」とはなりません。

ガイドを増やせば自由区間は短くできますが、ラインがリングを通過する回数も増えます。

必要なのは本数そのものではなく、

ラインの波が必要以上に成長しない間隔

と考えた方が実際の結果には合います。

BassResourceでも、MicroではStandardよりガイド数が増える一方、飛距離への効果はわずかだという意見があります。

したがってガイド本数は、

ラインをブランクへ絶対に触れさせないために増やす

というより、

ラインの動きを十分に制御できるところまで間隔を詰め、それ以上は増やさない

という設計の方が合理的です。

ではバットガイドも最初から小さくすればよいのか

ラインの膨らみを抑えるなら、最初のバットガイドから小さくすればさらに効率が良さそうです。

実際、2026年9月のRodbuilding.orgでは、まさにこの問題が議論されています。

Les Cline氏はスローモーション映像から、ベイト用バットガイドには3つの条件が必要だと整理しています。

条件目的
十分に小さいラインの動きを早く制御する
十分に大きいリール側から来るline waveを受け入れる
十分に高いラインがブランクを叩くのを防ぐ

この議論では、4mmリングをバットガイドに使用すると、ラインの自由度が不足して逆に流れが不規則になり、bunchingしたスローモーション映像が確認されています。

逆にリングが大きすぎると、ラインが上下左右へ動ける範囲が広すぎて十分にchokeできず、大きなline waveを次のガイドへ渡してしまうとも指摘されています。

つまり、

小さければ小さいほどよい

という結果でもありません。

KW8からKW10へ変えると太いフロロで改善した

同じRodbuilding.orgの議論では、さらに興味深い実釣経験が出ています。

David Baylor氏は以前、KW8をバットガイドに使用していたところ、ストレートフロロが10~12lb付近を超えるとセッティングがシビアになり、KW10へ変更すると改善した経験を持っています。Les Cline氏はこの話を引用し、太いラインほど硬くなり、リールからバットガイドまでの方向転換を嫌うためではないかと推測しています。

ただし、ここで二人が注目しているのはリング径だけではありません。

ガイドリング径高さ
KW88mm12.3mm
RV66mm12.9mm
KW1010mm14.6mm

David Baylor氏は、問題を左右しているのはリング内径よりリング上端までの高さではないかとしています。実際、KW10へ変更したことでラインがバットガイドへ入る角度が緩くなり、硬いフロロを扱いやすくなった可能性があります。

ここでも単純な「大径ガイドだから太いフロロを通せた」という話ではありません。

KW10 → KW5.5という急激な小径化

さらに興味深いのがFuji KR Castingで使われる、

KW10 → KW5.5

という構成です。

David Baylor氏自身、最初にこの組み合わせを見たときはKW10から5.5へ急激に絞るライン角度が大きく見えたとしています。しかし実際には、このKR Casting構成は太いラインも問題なく扱えていると述べています。

Les Cline氏もスローモーション映像から、KW10→KW5.5を「大きすぎず、小さすぎない」組み合わせとして評価しています。

ここから見えるのは、

大径ガイドを何個も使って徐々に絞る必要はない

ということです。

最初のガイドには、リールから来るラインの波を受け止められる高さと径を与える。

そこで大きな波を一度受けた後、次のガイドでは一気に小径化してラインの動きを抑える。

その後は小径ランナーで状態を維持する。

という考え方です。

実際のロッドでもKW10 → KW5.5 → 5が使われている

2023年、Rodbuilding.orgでNorman Miller氏がNFC X-Ray NEO MB765に実際に使用しているKR Casting構成を公開しています。

構成は、

KW10 → KW5.5 → KB5×3 → KT5×5

合計10個。

ロープロファイルリールでは、バットガイドをリールから約19~21インチの位置へ置き、ティップ側からも位置を決め、残りを配置した後にTwo-line Static Testで微調整しています。

リング径を見ると、

10 → 5.5 → 5 → 5 → 5……

です。

10→8→7→6→5と段階的に絞っているわけではありません。

最初のガイドでラインを受け、次のガイドで急速に小径化し、その後は5mmで維持しています。

今回の15lb超フロロの結果から考えた、

大きな波を作らせず、できるだけ早くラインの動きを小さな範囲へ収束させる

という考え方と一致する実例です。

Fuji自身も「bunching」と「line slap」で位置を調整している

FujiのKR Castingレイアウトでも、最終位置は固定ではありません。

Anglers ResourceのFuji資料では、バットガイドをスプール中心から19インチ付近へ置くことを基本としながら、実際にテープ止めしてキャストすることを推奨しています。

そして、

ラインがブランクを叩くなら reduction train全体をリール側へ1インチずつ移動

ラインがバットガイドでpile up / bunchするなら、逆にティップ側へ1インチずつ移動

としています。

これは非常に重要です。

Fujiの調整方法も、単純にガイドを小さくすることを目的にしていません。

最初のガイドが遠すぎれば、そこへ到達するまでにラインの動きが大きくなる。

近すぎたりリングが小さすぎたりすれば、今度は入口でラインが処理しきれずbunchingする。

その間でラインが最も滑らかに流れる位置を探しています。

飛距離を伸ばすガイドセッティングとして見えてくるもの

ここまでの海外実例を並べると、共通する方向があります。

海外で確認された結果そこから考えられること
15lb超フロロだけMicro 13+1で約8~10ft伸びた硬くメモリーのあるラインほどガイドによる制御の影響が大きい
Braid / Monoでは明確な差なしリング径だけで飛距離が決まっているわけではない
4mmバットガイドではbunching小径化にも限界がある
KW8→KW10で太いストレートフロロが改善リング径だけでなくガイド高さと進入角も重要
KW10→KW5.5が太いラインでも機能最初から段階的にゆっくり絞る必要はない
バットガイドを遠ざけるとラインがsloppyになった最初に制御するまでの自由区間も重要
Fujiもline slapとbunchingを見ながら前後位置を調整最適位置は実際のライン挙動で決める

この結果から考えると、ベイトロッドのガイドセッティングで飛距離を伸ばす方向は、

「リングによる接触をできるだけ減らす」だけでは説明できません。

むしろ、

ラインが自由に動ける距離と振幅を適切に制限し、大きなline waveを作らせない

ことが重要なのではないかと考えられます。

特に太いフロロでは、スプール上で付いた糸癖とライン自体の硬さがあります。

キャスト前半はラインテンションが高いため比較的伸ばされますが、キャスト後半に張力が落ちると、ガイド間でラインが再び膨らみやすくなる。この膨らみを小径ガイドと適切な間隔で抑えたことが、15lb超フロロでMicro側だけ飛距離が伸びた一因だった可能性があります。

現時点で、このメカニズム自体が測定によって証明されているわけではありません。

しかし、

太いフロロだけMicroで飛距離差が出た実投結果

太いフロロではKW8よりKW10の方が扱いやすかった実例

小さすぎる4mmでは逆にbunchingしたスローモーション観察

KW10→KW5.5→5という実際のKR Castingセッティング

は、いずれもラインを「どれだけ早く、どの程度まで制御するか」という考え方でつながります。

マイクロガイドから見えてくるのは、単純な「小径ガイドほど飛ぶ」という話ではありません。

最初のガイドでラインの波を受け、できるだけ早く適切な大きさまで収束させ、その後は必要以上に膨らませない。

飛距離を狙ったベイトロッドのガイドセッティングでは、リング径だけでなく、ガイド高さ、バットガイドまでの距離、その後のガイド間隔、そして使用するラインの硬さまで含めて考える必要がありそうです。

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