日本と海外で違う、ロッドの「対象魚種」の分け方
海外のロッドビルドサイトでブランクを探すと、日本人には分類が大雑把に見えることがあります。
日本では、アジング、メバリング、エギング、チニング、タイラバ、イカメタル、バチコン、ショアジギングといった釣種名からロッドを探すのが一般的です。
一方、海外サイトでは、Bass、Walleye、Panfish、Pike、Musky、Catfish、Salmon / Steelhead、Sea bass、Tunaといった魚種名や、Inshore、Offshore、Surfといったフィールド名が前面に出てきます。
海外では、日本ほど専用ロッドが細かく分かれていないのでしょうか。
そうではありません。日本と海外では、ロッドを分けるときの最初の基準が違います。
日本は「どの釣りをするか」からロッドを分ける傾向が強く、海外は「どの魚を、どの場所で釣るか」から分ける傾向が強いのです。
日本は釣法からロッドを分ける
国内ブランクメーカーのジャストエースでは、バス、トラウト、ナマズ、雷魚、シーバスなどの魚種に加え、ショアジギング、エギング、チニング、アジング、タイラバ、ティップラン、イカメタル、バチコンなどの釣種からブランクを検索できます。
日本の特徴は、魚種が同じでも、釣り方が違えば別のロッドカテゴリになることです。
たとえば、同じイカを狙う釣りでも、岸からエギをしゃくるエギング、ボートからエギを操作するティップラン、鉛スッテを縦に動かすイカメタルでは、ロッドに求められる長さ、適合重量、ティップの入り方が違います。
同じマダイでも、タイラバ、一つテンヤ、ジギングでは別のロッドになります。
日本では魚の種類だけでなく、仕掛けの重さ、操作方法、アタリの出方、掛け方まで含めて釣種が作られます。そのため、「何を釣るか」よりも「どのように釣るか」がロッド分類に強く表れます。
海外は魚種とフィールドからロッドを分ける
海外のロッドビルドサイトでは、魚種やフィールドからブランクを探す構成が多く見られます。
Mud Holeの淡水ブランクでは、Bass、Walleye、Panfish、Troutなどが基本カテゴリになっています。Batson Enterprisesでも、Bass / Freshwater、Salmon / Steelhead、Surf、Saltwater Inshore、Saltwater Offshoreなどの分類が使われています。
欧州のRodhouseでも、Sea bass、Tuna、Pike、Black bass、Cod、Bonito、Pollock、Catfishなど、多数の魚種からブランクを探せます。
もちろん、海外にもTopwater、Swimbait、Vertical、Slow Jigging、Surfcastingなどの釣法分類はあります。
違うのは、釣法分類が存在するかどうかではありません。どの条件から商品を探し始めるかです。
日本では、まず「アジング用」「エギング用」「タイラバ用」といった釣種を選び、そこから長さやパワーを決めます。
海外では、まず「Bass用」「Catfish用」「Inshore用」「Surf用」といった魚種やフィールドを選び、その中から釣法、ルアー重量、ライン強度、ロッドパワーを絞り込みます。
同じ条件でロッドを選んでいても、分類の順番が違うわけです。
なぜ日本と海外で分類方法が違うのか
日本のロッド市場で特徴的なのは、小型から中型の沿岸魚を狙う釣りまで、細かく専用化していることです。
アジングでは、1g以下のジグヘッドを操作し、極細ラインで小さなアタリを取ります。メバリング、チニング、エギング、バチコンでも、それぞれ違う操作や仕掛けが求められます。
小さい魚でも一つのゲームとして成立させ、その釣りに必要な性能をロッドへ細かく落とし込む。これが日本のロッド文化です。
一方、海外では淡水魚の種類と存在感が大きく、日本では独立したロッドカテゴリになりにくいWalleye、Panfish、Pike、Musky、Catfish、Salmon、Steelheadなどが、それぞれ市場を持っています。
ソルトウォーターでも、沿岸のInshore、沖合のOffshore、岸から遠投するSurfというように、釣り場の規模からロッドを分ける考え方が強く見られます。
日本は、身近な沿岸魚を釣法ごとに細分化してきました。海外は、多様な淡水魚や大型魚、広いフィールドを起点にロッドを分類してきました。
この市場の違いが、ロッドカテゴリの見え方にも表れています。
海外ブランクは魚種名だけで判断できない
海外サイトからブランクを選ぶときは、魚種名をそのまま日本のロッドカテゴリへ置き換えない方がよいでしょう。
たとえば、日本でシーバスロッドと言えば、一般的にはスズキをルアーで狙うロッドを指します。しかし海外のSea bass用ブランクには、短いボート用、バーチカル用、ショアキャスティング用、長尺のサーフ用まで含まれることがあります。
Catfishも同じです。日本のナマズロッドを想像すると比較的短いルアーロッドになりますが、海外のCatfish用には、太いラインや重いシンカーを使う大型魚向けのブランクも含まれます。
Bass、Sea bass、Catfish、Tunaと書かれていても、それだけではロッドの仕様を判断できません。
岸かボートか、キャスティングかバーチカルか、ルアーやシンカーの重量、ライン強度、ブランクの長さ、パワー、アクションまで確認する必要があります。
海外サイトの魚種名は、完成したロッドの仕様を示すものではなく、ブランクを絞り込むための最初の入口です。
結論:違うのは対象魚よりも、ロッドを分ける順番
日本と海外では、生息する魚や人気の対象魚も違います。しかしロッドビルド目線で重要なのは、対象魚そのものより、ロッドをどの順番で分類するかの違いです。
日本では、「アジングをする」「エギングをする」「タイラバをする」という釣法からロッドを選びます。
海外では、「Bassを狙う」「Catfishを狙う」「Inshoreで使う」「Surfから釣る」という魚種やフィールドから入り、その後で釣法やパワーを絞ります。
日本は、釣法を細かく専用化してきた市場です。海外は、魚種とフィールドの広さを起点にロッドを展開してきた市場です。
この違いを理解すると、海外のBass rod、Sea bass rod、Catfish rodを、日本の同名ロッドへ機械的に置き換えなくなります。
海外ロッドビルド情報を日本の釣りへ取り入れるには、魚種名だけでなく、その魚をどこで、どのように、どの規模のタックルで釣るのかまで確認する必要があります。
日本のロッドビルドが海外から学べること
日本のロッドは釣法ごとの専用化が進んでおり、完成品としての精度は非常に高いです。一方で、ロッドビルドまで「アジング用」「エギング用」「タイラバ用」という市販ロッドと同じ分類から考えると、既存製品の再現になりやすいという問題があります。
本来、ロッドビルドは市販ロッドのカテゴリに合わせる必要はありません。
アジング用ブランクを使うからアジングロッドになるのではなく、扱うルアー重量、使用ライン、必要な飛距離、ティップに求める役割、魚を掛けた後の曲がり方によってロッドの仕様が決まります。同じ条件を満たすなら、メバル用、トラウト用、バス用として販売されているブランクが候補になることもあります。
ここは、海外のロッド分類から学べる部分です。
海外サイトでは、魚種やフィールドを入口にしながらも、その後にルアー重量、ライン強度、ロッドパワー、テクニックを確認してブランクを絞り込みます。魚種名だけでロッドの仕様を決めるのではなく、実際に必要な条件へ分解して選んでいるわけです。
日本のロッドビルドでも、最初から釣種名に縛られるのではなく、次の条件から設計した方がよいでしょう。
- どの重さのルアーや仕掛けを使うのか
- どのラインを使うのか
- キャストするのか、縦に落とすのか
- 感度と食い込みのどちらを重視するのか
- 岸、ボート、サーフのどこで使うのか
- 掛けた魚を曲げて取るのか、強く引き離すのか
これらの条件を整理した後で、該当するブランクを探します。その結果としてアジング用ブランクを選ぶのであれば問題ありません。しかし、最初から「アジングロッドを作るからアジング用ブランク」と決めてしまうと、ロッドビルドで選べる範囲を自分から狭くすることになります。
日本の専用ロッド文化は、細かな釣り方に対して完成度の高い道具を生み出してきました。ただし、ロッドビルドまで市販ロッドのカテゴリをそのまま引き継ぐ必要はありません。
海外のロッドビルドから見習うべきなのは、大型魚用の強いロッドや海外製ブランクそのものではなく、魚種名や釣種名を一度分解し、実際の使用条件からロッドを組み立て直す考え方です。
市販ロッドの分類から設計を始めるのではなく、自分の釣りに必要な機能から設計する。そこに、ロッドビルド本来の意味があります。

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