バス釣りをやっていると、クランクベイトやトップウォーターなどのハードルアーを使うことを前提にしているように見えるが、実際の釣りではワームが主体になることが多い。
理由は単純で、ハードルアーの釣りはワームの釣りより難しいからである。
ただし、ハードルアーだから釣れないわけではない。
釣れないと思われているルアーでも、そのルアーで魚が釣れる条件を理解すれば釣ることはできる。
私が考える「釣りが上手くなる」というのは、難しいルアー操作ができることではない。
そのルアーで魚が釣れる条件を理解できるようになること。
今回は、ハードルアーで釣るための考え方を「魚の状態」と「ルアーパワー」という2つの要素に分けて考えてみる。
なお、ここでは魚がルアーを認識できる範囲に存在していることを前提とする。また、リアクションバイトについては通常の捕食とは性質が異なるため、今回の考え方からは外している。
1章 ルアーと魚をパラメータで考える
今回はバス釣りを前提にするが、この考え方は他の魚種にもある程度応用できる。
魚を釣るための条件を大きく分けると、
魚の状態
と、
ルアーパワー
の2つに分けて考えることができる。
魚の状態とは
魚の状態とは、その魚が餌を食いたい状態にどれだけ近いかということである。
この状態は常に一定ではない。
例えば朝マズメや夕マズメでは餌を捕食する条件が良くなりやすい。フィーディングエリアに入っている魚と、そうではない場所にいる魚でも状態は違う。
季節によっても変わるし、単純に魚が腹を空かせているかどうかでも変わる。
魚の状態を決める要素として考えられるのは、
- 朝マズメ、夕マズメなどの時間
- フィーディングエリアなどのロケーション
- 魚の空腹状態
- 春夏秋冬による季節的な捕食状態
などである。
もちろん実際の魚の状態を数値で測定することはできない。
ここで重要なのは正確な数値を求めることではなく、今狙っている魚の状態が高いのか、低いのかを考えることである。
ルアーパワーとは
一般的に「ルアーパワー」という言葉は、ルアーの存在感やアピール力、魚に気付かせる力などの意味で使われることが多い。
しかし、ここでいうルアーパワーは少し意味が違う。
このページでは、
魚に口を使わせる力=釣果力
をルアーパワーと考える。
つまり、魚の状態が多少悪くても魚に口を使わせることができるルアーは、ルアーパワーが高い。
逆に、魚の状態が良くなければなかなか口を使わせられないルアーは、ルアーパワーが低い。
この定義で考えると、ワームは総じてルアーパワーが高く、ハードルアーは低い。
これが、ワームでは釣れるのにハードルアーでは釣れないことが多い理由だと考えている。
2章 魚が釣れる方程式
ここで魚が釣れる状態を簡単な数式にしてみる。
魚の状態 + ルアーパワー ≧ 100
合計が100を超えれば魚が釣れるとする。
100という数値そのものには何の意味もない。
あくまで考え方を分かりやすくするための数字である。
例えば、
魚の状態:50
ルアーパワー:20
であれば、
50+20=70
となり、100に届かないので釣れない。
一方、
魚の状態:80
ルアーパワー:20
であれば、
80+20=100
となり、魚が釣れる条件に到達する。
非常に単純な考え方である。
しかし、この考え方を使うと、ワームでは釣れるのにハードルアーでは釣れない理由も説明しやすい。
例えば同じ魚に対して、
魚の状態:40
ハードルアーのルアーパワー:30
なら、
40+30=70
なので釣れない。
しかしワームのルアーパワーを60とすると、
40+60=100
となり釣ることができる。
だからワームの方が簡単なのである。
3章 魚の状態を上げればハードルアーでも釣れる
ここまでの考え方では、ハードルアーはルアーパワーが低い。
だから釣れない。
しかし、ここで終わってしまうとハードルアーを使う意味がない。
重要なのは、ルアーパワーが低くても魚の状態が高ければ釣れるということである。
先ほどのハードルアーをそのまま使う。
ルアーパワーは30しかない。
魚の状態が40なら、
40+30=70
なので釣れない。
しかし魚の状態が70まで上がれば、
70+30=100
となり釣れる。
ルアーは何も変わっていない。
変わったのは魚の状態だけである。
つまり、ハードルアーで釣るためには、ルアーパワーを上げることばかり考える必要はない。
そのハードルアーでも釣れる状態の魚を狙えばいい。
これが私の考えるハードルアーの釣りである。
4章 魚の状態はどうやって判断するのか
魚の状態を正確に測定する方法はない。
釣りをしている人間から魚の空腹度を測ることもできないし、魚が今どれくらい餌を食いたいのかを数値として知ることもできない。
だから、実際の釣りでは外から確認できる条件から判断する。
例えば朝マズメで、ベイトが入っているフィーディングエリアを狙っているのであれば、魚の状態は比較的高いと考えられる。
反対に、魚が積極的に餌を追う理由が少ない時間や場所であれば、状態は低いと考える。
ここで必要なのは、
「今の魚の状態は62だ」
というような正確な分析ではない。
今は高そうなのか、低そうなのか。
その程度の判断で十分である。
釣りを続けていれば、
「この時期のこの場所はこの時間になると食い始める」
「ここではベイトが入った時だけハードルアーに反応する」
といった経験が増えていく。
これが魚の状態を読むということになる。
5章 釣れないルアーは本当に釣れないのか
ここまでの考え方で見ると、「このルアーは釣れない」という評価も少し変わってくる。
ルアーパワーが低いルアーは、確かに釣りにくい。
しかし、
釣りにくい=釣れない
ではない。
魚の状態が十分に高ければ、ルアーパワーが低いルアーでも閾値を超える。
つまり、「釣れないルアー」と言われているものでも、そのルアーで釣れる条件を見つければ釣ることができる。
私自身、こちらの考え方の方が釣りとして面白いと思っている。
釣れるルアーを探して交換し続けるのではなく、
このルアーを食う魚は、どこにいて、いつなら食うのか。
こちらを考える。
するとルアーに対する考え方も変わってくる。
6章 ルアー操作が上手いことと、釣りが上手いことは違う
ハードルアーというと、ルアー操作や巻き方、アクションの付け方などが重要だと思われやすい。
もちろん操作によって釣果が変わることはある。
しかし私は、それが釣りの上手さの中心だとは考えていない。
例えば魚の状態が95まで上がっている場所で、ルアーパワー10のルアーを使う。
95+10=105
である。
この状態なら、ルアー操作が多少下手でも魚は釣れる。
逆に魚の状態が30しかないところで、ルアーパワー30のハードルアーをどれだけ上手く操作しても、
30+30=60
でしかない。
この差は大きい。
ルアー操作を少し上達させるより、魚の状態が高い場所や時間を見つけた方が大きく結果が変わる場合がある。
だから私が考える釣りの上手さとは、
ルアーを上手く操作する能力ではなく、そのルアーで魚が釣れる条件を見つける能力である。
7章 普段からルアーパワーの高いルアーを使い過ぎない
そして、魚の状態を読む能力を身につけるためには、普段からルアーパワーの高いルアーに頼り過ぎないことも重要だと考えている。
ルアーパワーが高ければ、魚の状態がそれほど高くなくても釣れる。
例えば、
魚の状態:40
ルアーパワー:60
なら、
40+60=100
なので釣れてしまう。
魚が釣れること自体は何も悪くない。
しかし、これだけでは「なぜ今釣れたのか」が分かりにくい。
そこでルアーパワー30のルアーを使ってみる。
魚の状態が40なら、
40+30=70
なので釣れない。
しかし時間や場所を変えたところ、
魚の状態が70まで上がった。
すると、
70+30=100
になって釣れる。
この経験を繰り返していけば、
「どのような条件で魚の状態が上がるのか」
が少しずつ分かってくる。
ルアーパワーの低いルアーを使うこと自体に意味があるわけではない。
低いルアーパワーでも釣れる条件を探すことに意味がある。
8章 ハードルアーで釣るということ
ハードルアーで魚を釣ることだけを考えるのであれば、話はそれほど難しくない。
魚の状態が高い時に使えばいい。
朝マズメだから必ず釣れるという意味ではないし、フィーディングエリアなら必ず釣れるという意味でもない。
時間、場所、季節、ベイトなどを見ながら、魚の状態が高くなっていると考えられる状況を探す。
その状態がハードルアーのルアーパワーと合わさって、魚が口を使う閾値を超えれば釣れる。
この考え方が身につけば、使えるルアーの種類も増えていく。
ワームでなければ釣れなかった魚を無理にハードルアーで釣る必要はない。
反対に、ハードルアーでも十分に釣れる魚に対して、常にワームの力を借りる必要もない。
重要なのは、
今使っているルアーのルアーパワーと、今狙っている魚の状態が合っているか。
それを考えることである。
まとめ 釣りが上手くなるとは
今回の考え方を非常に単純にすると、
魚の状態 + ルアーパワー ≧ 釣れる閾値
となる。
ルアーパワーの高いルアーを使えば魚の状態が低くても釣ることができる。
反対にルアーパワーの低いルアーを使うのであれば、それだけ魚の状態が高い条件を探す必要がある。
ハードルアーの釣りが難しいのは、この魚の状態に依存する部分が大きいからだと考えている。
しかし、魚の状態を理解できるようになれば、今まで釣れないと思っていたルアーでも釣ることができる。
そして、ルアーパワーの高いルアーだけに頼らず、低いルアーパワーでも魚を釣れる条件を探すことによって、魚を見る能力も上がっていく。
釣りが上手くなるとは、釣れるルアーをたくさん知ることでも、難しいルアー操作を覚えることでもない。
そのルアーで魚が釣れる条件を理解し、自分でその条件を探せるようになること。
これが私の考える釣りの上手さである。