海外ビルダーに見る、修理とリビルドの判断基準
長く使ったロッドでは、ガイドの錆やスレッドの劣化、グリップの傷み、古いリールシートなどが気になってくる。
ガイドだけ交換して使い続けることもできるが、どうせ直すならグリップやリールシートまで交換し、ブランクだけを残して組み直す方法もある。
ここまで作業するなら、最初から新しいブランクで一本組んだ方が早い場合もある。
海外のロッドビルド掲示板でも、この判断について何度も議論されている。
ガイド交換とフルリビルドでは作業量がまったく違う
BassResourceでは、オークションなどで安く入手した古いロッドから、ガイド、グリップ、リールシート、塗装まで外し、ブランクだけの状態へ戻して新しいロッドとして組み直せないかという質問が出ている。
作業自体は可能だが、回答したビルダーからは、ガイド交換程度の修理と、ブランクまで戻すフルリビルドは分けて考えられている。
ガイドやトップガイドを数個交換し、コルクをきれいにする程度なら作業量はそれほど大きくない。
一方、フルリビルドではガイドをすべて外した後、グリップとリールシートまで取り除く必要がある。特にリールシートは接着面積が大きく、ブランクを残しながら外すのに手間がかかる。
古いブランクを残す作業は時間がかかる
古いカスタムロッドからブランクだけを取り出して再利用できないかという別の質問では、実際の作業時間についてかなり具体的な回答が出ている。
古いガイド、グリップ、リールシートを慎重に外すだけで2~3時間。その後、新しい部品を取り付け、ガイドを巻いてフィニッシュするまでさらに6~8時間程度という例が挙げられている。
新品のブランクから組む場合、この分解作業は必要ない。
さらに、古い接着剤を熱で簡単に溶かして部品を外せるわけでもない。
カーボンブランク自体も樹脂によって繊維が固定されているため、接着剤を強い熱で処理しようとするとブランク側にも影響する。ガイドはスレッドとフィニッシュを切って外し、グリップやリールシートもブランクを傷つけないよう少しずつ除去する必要がある。
フルリビルドでは、新しく組む作業の前に、一本のロッドを壊さず分解する工程が追加される。
海外のプロビルダーは「時間」を判断材料にしている
先ほどのBassResourceの議論では、ロッドビルドショップのDelaware Valley Tackleが、フルリビルドをするかどうかは作業時間をどう考えるかで変わると回答している。
実際に依頼されるフルリビルドの多くは、思い入れのあるロッドだという。
通常のロッドなら、新しいブランクから組んだ方が費用対効果が良く、仕上がりも良くなる場合が多い。古いロッドを安く購入して全面的に作り直すより、ガイドやトップガイドを交換し、グリップを整える程度の方が現実的だとしている。
中古ロッドを安く入手できたとしても、
- 古い部品を外す
- ブランクを清掃する
- 新しいグリップを用意する
- 新しいリールシートを取り付ける
- ガイドを取り付け直す
ところまで行えば、新しいブランクから一本作る場合との差は小さくなる。
ブランクが古いだけなら、そのまま使える
古いブランクだから使用できなくなるわけではない。
同じ議論では、傷や破損がなく、必要なパワーとアクションを持っている古いブランクなら、現在でも使用できると回答されている。
違いとして出ているのは、現代のブランクの方が同程度のパワーでも軽く、復元が速い傾向があることだった。
古いロッドを振るとティップの振動が止まるまで時間がかかるものがあり、現代の高弾性材料を使ったブランクでは、この収束が速くなっているという説明もある。
古いブランクをフルリビルドしても、ブランクそのものの重量や復元特性まで新しくなるわけではない。
ガイドやグリップを軽量化すればロッド全体は変化するが、中心になるブランクの性格は残る。
それでも古いブランクを残す理由がある
新しいブランクから組んだ方が簡単でも、フルリビルドが行われている。
海外で実際に出ている理由の一つが思い入れである。
長年使用したロッドや、家族から譲られたロッドなどでは、費用や作業時間だけで判断されていない。
もう一つが、そのブランクのアクションやパワーである。
Delaware Valley Tackleは、現在のブランクでは同じような特性を見つけられない場合を、古いブランクを残す例外として挙げている。古いロッドに見られる柔らかいアクションを好み、あえて探しているフライフィッシャーもいるという。
古いブランクを残す理由は、最新ブランクより高性能だからとは限らない。
そのブランクでしか得られない曲がりや使用感が残っていれば、時間を掛けて組み直す意味が出てくる。
古い大型ロッドでは「作業そのものを楽しむ」という考え方もある
StripersOnlineでは、古い11.5ftのLamiglasサーフロッドを入手したユーザーが、短いグリップや古いガイド構成を変更するため、全面的に組み直すべきか相談している。
回答の中には、すべて外してリビルドするという意見がある一方、その作業は「labor of love」と表現されている。
古いロッドの歴史や昔の使用感に興味があり、作業そのものを楽しめるならリビルドする。完成後に日常的な主力ロッドになるかどうかとは別の価値が置かれている。
このようなロッドでは、新品との価格比較だけではリビルドの意味を判断できない。
ブランクが折れていても、すぐに廃棄とは限らない
折れたロッドについても判断は分かれる。
BassResourceでは、Megabass Valkyrieのティップから2番目のガイド付近でブランクが折れたユーザーが、ガイドやリールシートを回収し、新しいブランクへ移植しようとしている。
本人も費用的に得ではないことは理解したうえで、作業自体を楽しみ、新しい方法を覚えるために行っている。
これに対して経験者からは、その位置の破損ならスプライス修理で再使用できる可能性もあるという回答が出ている。
ただし、破損位置が大きく曲がる場所にあるほど修理は難しくなる。修理して使う、部品を回収する、新しいブランクへ移るという複数の選択肢が検討されている。
ブランクを捨ててもパーツは残せる
ブランクが再使用できなくても、ロッド全体を捨てる必要はない。
折れたロッドから、
- ガイド
- リールシート
- ロックナット
- グリップ部品
を回収し、新しいブランクへ使う例もある。
特にガイドはスレッドを切れば比較的簡単に取り外せる。
リールシートも、古いブランクを残す必要がなければ作業は楽になる。リールシートごとブランクを切り出し、その内部に残ったブランクをドリルやリーマーで除去する方法が紹介されている。
古いブランクを残そうとすると部品を傷つけず、同時にブランクも傷つけない作業が必要になる。
ブランクを廃棄すると決めれば、部品回収の自由度は大きくなる。
修理、リビルド、新規製作を分けて考える
海外の会話を見ると、古いロッドへの対応は大きく三つに分かれている。
| ロッドの状態 | 選ばれている方法 |
|---|---|
| ガイドやトップだけが傷んでいる | 部分修理 |
| グリップやガイドを更新したいが、ブランクは残したい | フルリビルド |
| ブランクに特別な理由がなく、全面交換が必要 | 新しいブランクから製作 |
| 現在では代替しにくいアクションがある | 古いブランクを残してリビルド |
| 思い入れがある | 費用より保存を優先してリビルド |
| ブランクが大きく破損している | 修理または新しいブランクへ移行 |
| ブランクは使わないが部品に価値がある | パーツを回収して再利用 |
ガイドが1個壊れただけなら、そのガイドを交換すればよい。
グリップまで傷んでいても、そのブランクを使い続けたい理由があれば全面的に組み直せる。
ガイド、リールシート、グリップをすべて交換する必要があり、ブランクにも特に残したい理由がなければ、新しいブランクから組む方法が選びやすくなる。
まとめ
古いロッドは、ガイドやグリップが傷んでいても多くの場合は修理できる。
ブランクだけを残して全面的に作り直すこともできるが、ガイド、グリップ、リールシートをすべて外す作業が加わるため、新品ブランクから作るより手間がかかる。
海外のプロビルダーからも、通常は新しいブランクから組んだ方が費用対効果が良いという意見が出ている。
それでもフルリビルドされているロッドには、思い入れや、現在では代替しにくいアクションといった理由がある。
古いロッドを残すかどうかは、修理可能かだけでは決まらない。
直す部分がガイド程度なのか、ブランク以外をすべて交換するのか。そのブランクを残すために分解作業を追加する価値があるのか。
海外のリビルドに関する会話では、このあたりが判断の分かれ目になっている。
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