前回の記事では、North Fork CompositesやRainShadowなどの海外ブランクメーカーが、型番別のガイドスペーシングを公開していることを紹介した。
では、海外のロッドビルダーはメーカーが示した位置へ、そのままガイドを取り付けているのか。
海外掲示板で実際の組み方を確認すると、メーカー表だけで完成位置を決める方法は少ない。メーカー表、Fujiの計算値、等差的な仮配置、過去の製作データを使って最初の位置を作り、静荷重テストや試投で調整している。
メーカー表を使う方法と、ビルダーが独自にスペーシングする方法は分かれていない。ロッドの種類やガイドの役割によって、複数の方法が使い分けられている。
メーカー表は最初の配置に使われる
Rod Geeksは、自社ブランク用にガイドサイズとスペーシングを公開している。
同社は公開した数値を、ビルドを始めるための位置として案内している。ガイドをテープで仮止めし、ラインを通してブランクを曲げ、位置を確認する方法も推奨している。スパイラルガイドについては、公開表を使わず、ビルダーが個別に位置を決めるとしている。
海外掲示板でも、RainShadow、St. Croix、Fujiなどのスペーシング表を最初の位置に使い、その後に静荷重テストで動かすという回答が出ている。
メーカー表は、ガイドをどこから並べ始めるかを決めるために使われる。
初めて扱うブランクでも、メーカーが示したガイド数と位置から始めれば、大きく外れた配置を避けられる。そのうえで、実際に選んだガイド、リール、リールシート位置に合わせて調整する。
メーカー表を使わず、等差的に並べる方法もある
メーカー表を使わず、ティップ側から徐々に間隔を広げて仮配置を作るビルダーもいる。
例えば、
- 3.5インチ
- 4インチ
- 4.5インチ
- 5インチ
というように、バット側へ向かって少しずつ間隔を広げていく。
2023年のRodbuilding.orgでは、すべてのロッドで2本ライン式の静荷重テストを行うビルダーが、テスト前にはこのような等差配置を使っていると説明している。
7ftロッドでは9個のガイドを仮止めし、見た目が自然な等差配置を作ってから静荷重テストを行う。この方法で、半数はガイドを動かす必要がなく、残りも1~3個を1/4インチ未満動かす程度だったと報告している。
別の回答者も、7ftロッドに10個のガイドを使い、静荷重テストで動かすのは多くても1~2個、移動量も1/4インチ程度としている。
同じスレッドでは、等差配置を作った後に静荷重で微調整する方法、最初から静荷重だけで決める方法、過去の配置を使う方法が並んでいる。
独自配置といっても、ガイドを感覚だけで置いているわけではない。
ガイド数、最初の間隔、バットガイド位置などに、過去の製作結果が使われている。
静荷重テストでブランクの曲がりに合わせる
静荷重テストでは、ガイドをテープやゴムチューブで仮止めし、ブランクへ負荷を掛ける。
2本ライン式では、1本目のラインをトップ側へ結び、ブランクを曲げるために使う。もう1本をリールから各ガイドへ通し、負荷を掛けた状態でライン経路を確認する。
ブランクを曲げるラインと、ガイド位置を確認するラインを分けるため、ガイドを通したラインに引かれてブランクの曲がり方が変わることを避けられる。
確認するのは、各ガイド間の距離そのものではない。
- ラインがブランクの曲線に沿っているか
- 特定のガイドだけライン角度が急になっていないか
- ガイド間でラインがブランクへ近づきすぎていないか
- 曲がりの大きい場所を十分に支えているか
- 硬い部分にガイドが集まりすぎていないか
Anglers Resourceの静荷重テストでは、最終的なランニングガイド位置を寸法ではなく、実際のブランクの曲がりから決めている。曲がりが深い場所にはガイドが集まり、硬い場所では間隔が広くなる。
Mud Holeも、ガイドキットやスペーシング表の数値から仮配置を作り、静荷重テストで調整する方法を案内している。
スピニングロッドはガイドの役割によって決め方が違う
スピニングロッドでは、すべてのガイドを静荷重だけで決めているわけではない。
スプールから放出されたラインを収束させるリダクションガイドには、リール側の条件が大きく関係する。
- スプール径
- スプールとブランクの距離
- リールシート位置
- ガイドの高さ
- 使用するライン
- チョーク位置
この部分には、FujiのKR Guide Placement SoftwareやGPSが使われる。
実際の投稿では、リダクションガイドとチョークガイドをFujiの計算値に合わせ、チョークより先のランニングガイドを静荷重テストで配置する方法が出ている。
別の投稿では、KRの計算値でリダクションガイドを仮配置した後、ランニングガイドを静荷重で調整し、リダクション部分を試投で確認する方法が紹介されている。
スピニングロッドでは、
- リダクション部分はリールから出るライン経路
- ランニング部分は負荷時のブランクの曲がり
を基準にしている。
Fujiの計算値を使い続け、結果が安定しているため、スピニングロッドでは試投を行わなくなったというビルダーもいる。
ベイトロッドはバットガイドから独自に決める
ベイトロッドには、スピニングのKR GPSに相当する配置計算が使われないことが多い。
海外掲示板では、バットガイドをリール正面から20~24インチ前後へ仮置きし、そこからティップ側へ等差的にガイドを並べ、静荷重テストを行う方法が出ている。
2023年のRodbuilding.orgでは、キャスティングロッドのバットガイドをリール正面から21.5インチに置き、残りのガイドを静荷重で決めるという投稿がある。
21.5インチという位置は、一般表から選んだ数値ではない。投稿者が使用するリールのレベルワインドの高さ、バットガイドの高さ、ラインがガイドへ入る角度、過去の試投結果から決めた位置である。
同じビルダーは、バットガイドが20インチより近い場合や23インチより遠い場合に、ラインコントロールの変化を感じたと述べている。その経験から、自分が使うリールとラインでは21.5インチを基準にしている。
ベイトロッドの独自スペーシングには、使用するリールとガイドの組み合わせが反映されている。
静荷重テストをしても大きく動かない
静荷重テストを行うと、メーカー表や等差配置からガイド位置が大きく変わるようにも見える。
しかし、Rodbuilding.orgの具体的な投稿では、変更量は小さい。
- 50%は移動なし
- 残りも1~3個を1/4インチ未満移動
- 別のビルダーも移動は1~2個程度
- 初心者の製作例でも、動かしたのは2個をわずかに移動した程度
という報告が出ている。
Rodbuilding.orgのモデレーターも、最初に等差的な配置を作り、静荷重テストを必要に応じた微調整に使っている。
メーカー表や等差配置が、静荷重テストとかけ離れた結果を出しているわけではない。
表や過去の製作データから良い仮配置を作れていれば、静荷重テストは配置を作り直す作業ではなく、負荷状態で不自然な場所がないかを確認する作業になる。
ガイド数が多いほど配置の許容範囲は広がる
ガイド数も、スペーシングの決め方に影響する。
Rodbuilding.orgの議論では、ガイド数が多いほど配置は容易になるという意見が出ている。ガイド間隔が短くなるため、1個の位置が多少ずれても、ライン経路が大きく変化しにくい。
その一方で、ガイドを増やせばブランクへ重量が加わる。
現在の小径ガイドは以前より軽いため、1~2個追加した場合の重量増加は小さくなっている。それでも、必要以上に増やせばティップ側の復元や感度へ影響する。
静荷重テストでは、ライン経路だけでなく、必要なガイド数も確認できる。
ガイド間でライン角度が大きくなる場合は、位置を動かすだけでなく、ガイドを追加する方法もある。
経験者は過去の配置を再利用する
同じ長さ、同じアクション、同じガイド構成のロッドを繰り返し作る場合、毎回ゼロから配置を決める必要はなくなる。
Rodbuilding.orgでは、過去に静荷重テストを行った同様のガイド構成を基に、テストを省略するビルドが増えているという投稿がある。
これは静荷重テストを使わなくなったのではなく、過去のテスト結果がビルダー自身のスペーシング表になった状態である。
初めて扱うブランクではメーカー表を使う。
実際のリールとガイドを組み合わせ、静荷重や試投で調整する。
完成した数値を記録し、次に似たロッドを作るときに再利用する。
この繰り返しによって、メーカー表とは別に、ビルダー独自の配置データが蓄積されていく。
スペーシング表を使わない立場もある
BassResourceでは、ロッドビルド店が、スペーシング表は簡単にロッドを組む場合には使えるが、ガイド配置はカスタムロッドで調整できる部分の一つだと回答している。
スピニングロッドにはKRシステム、ランニングガイドには静荷重テストを使うことを推奨している。
一方、メーカー表や計算値を使うビルダーも、最終的には同じように静荷重で確認している。
表を使うかどうかよりも、どの段階まで表へ任せ、どこから実物を見て調整するかに違いがある。
海外ビルダーはどこまで指標を使うのか
海外掲示板で確認できた方法を整理すると、次のようになる。
| ガイド配置の条件 | 主に使われている基準 |
|---|---|
| 初めて扱うブランク | メーカーの型番別スペーシング |
| スピニングのリダクションガイド | Fuji KR・GPS |
| スピニングのランニングガイド | 静荷重テスト |
| ベイトのバットガイド | リール位置、ガイド高、過去の試投結果 |
| ベイトのランニングガイド | 等差配置から静荷重で調整 |
| 同型・類似ロッドの再製作 | 過去の完成データ |
| スパイラルガイドや特殊構成 | 個別配置と静荷重テスト |
メーカー表か独自設計かという二つの方法ではなく、ガイドの役割とロッドの条件ごとに基準が変わっている。
まとめ
海外では、ブランクメーカーが型番別のガイドスペーシングを公開している。
実際のビルドでは、その数値を最初の配置に使い、静荷重テストや試投で調整する方法が採られている。
メーカー表を使わず、等差的な配置から始めるビルダーもいる。スピニングではKR GPSでリダクション部分を決め、ランニング部分を静荷重で配置する。ベイトでは、リールとバットガイドの関係を過去の試投結果から決め、残りを静荷重で調整する。
良い仮配置が作られていれば、静荷重テストで動かす位置は少ない。
製作経験が増えると、過去に検証した配置がビルダー独自のスペーシング表として蓄積され、同じようなロッドへ再利用される。
海外のガイドスペーシングは、メーカーの数値を使うところから始まり、実物で調整し、その結果を次のビルドへ残していく方法で決められている。
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