海外では、ブランクメーカー自身が、製品型番ごとのガイドスペーシングを公開している。
公開されているのは、単にロッドの長さから算出した位置ではない。ブランク型番、スピニングとキャスティングの違い、推奨ガイド数、各ガイドの位置、場合によっては使用するパーツまで指定されている。
ブランクを購入した段階で、そのモデルをどのようなロッドに仕上げるのか、メーカー側の設計例を確認できる。
North Fork Compositesは型番ごとのガイド位置を一覧化
North Fork Compositesは、公式サイトでGuide Spacing Tableを公開している。
表に掲載されている主な項目は次のとおり。
- ブランク型番
- スピニングまたはキャスティング
- ティップサイズ
- 各ガイドの位置
- ガイド配置のパターン番号
FW 501-1、FW 562-2、FW 601-1など、個々のブランク型番に対応した位置が登録されている。
同じシリーズや近い長さのブランクでも、すべて同じガイド位置が使われているわけではない。ブランクごとのテーパーやアクションに合わせて、異なるスペーシングが割り当てられている。
表には多数のモデルが登録されており、North Fork Compositesのブランクを使用する場合は、購入した型番から直接ガイド位置を探せる。
RainShadowはガイド位置だけでなく推奨パーツも公開
RainShadowを展開するBatson Enterprisesは、Guide Spacingのページで、ブランク型番ごとのBuild Printを公開している。
Build PrintはPDFまたはExcel形式で提供され、次の情報が含まれている。
- ガイドスペーシング
- 推奨ガイド
- トップガイド
- リールシート
- グリップなどの推奨パーツ
North Fork Compositesが型番別の位置表を一覧化しているのに対し、RainShadowのBuild Printは完成ロッドの部品構成に近い。
ブランクを選んだ後に、ガイド数や位置だけでなく、どのようなパーツを組み合わせるのかまで確認できる。
Rod Geeksもブランク別のスペーシングを公開
Rod Geeksも、ブランクごとの推奨ガイドサイズとスペーシングを公開している。
公式記事のSuggested Guide Size and Spacing Chartでは、各ブランクに対応するガイド構成を確認できる。
Rod Geeksは、このスペーシングを組み立て開始時の基準として案内している。ガイドは最初から固定せず、テープなどで仮止めし、ラインを通してブランクを曲げた後に位置を確認する。
スパイラルガイドについては、通常配置とはライン経路が異なるため、公開された表をそのまま使用しないよう説明されている。
North Fork CompositesとRainShadowだけでなく、複数の海外メーカーがブランク別のスペーシングを用意していることが分かる。
MHXもモデル別のガイド位置を用意している
Mud HoleのGuide Spacing Chartsでは、MHXを中心としたブランクのガイドスペーシングを確認できる。
Mud Holeは、使用するブランクのメーカーがスペーシングを公開している場合、その数値を最初の配置に使うよう案内している。
販売店側にも、ロッドの長さだけで決めた共通表より、各ブランクに対応するメーカー資料を優先する考え方がある。
型番別スペーシングはロッド長別の表と何が違うのか
同じ長さのブランクでも、負荷を掛けたときの曲がり方は同じではない。
例えば同じ7ftでも、ファストアクションではティップ側が大きく曲がり、モデレートアクションではベリーまで広く曲がる。
ティップ側へ曲がりが集中するブランクでは、先端付近のガイド間隔を狭くする必要がある。ベリーまで曲がるブランクでは、ガイドを配置する範囲も広がる。
型番別スペーシングは、長さだけでなく、そのブランクのテーパーやアクションを含めた位置になっている。
メーカーが想定するガイド数も確認できるため、仮配置の段階でブランクの性格に近い構成を作りやすい。
型番別表を使った後に位置を確認する
ブランク型番が同じでも、完成するロッドの条件は変わる。
- 使用するリール
- リールシートの位置
- グリップ長
- ガイドの高さ
- ガイドリングの大きさ
- ガイドの総数
- 通常配置またはスパイラル配置
特にスピニングロッドでは、バットガイドからチョークガイドまでの位置に、リールのスプール径やリールシート位置が関係する。
メーカー表を使ってガイドを仮配置した後、実際に使うリールとガイドを取り付け、ライン経路とブランクの曲がりを確認する。
Rod GeeksやMud Holeも、公開されたスペーシングから組み立てを開始し、ラッピング前に負荷を掛けて確認する手順を案内している。
静荷重テストでは何を確認するのか
静荷重テストでは、ガイドをテープなどで仮止めし、ラインを通してブランクを曲げる。
確認する内容は次のとおり。
- ラインがブランクの曲がりに沿っているか
- 一部のガイドだけライン角度が急になっていないか
- ガイド間でラインがブランクへ近づきすぎていないか
- 曲がりの大きい部分に必要なガイドが配置されているか
- 硬く曲がらない部分にガイドが集中していないか
Mud HoleのGuide Spacing Basicsでも、スペーシング表からガイドを仮配置し、静荷重テストで調整する流れが説明されている。
海外では、型番別スペーシングと静荷重テストが一連の作業として使われている。
まずメーカーの表から配置を作り、実際に選んだ部品を取り付けた状態で、必要な部分だけ位置を動かす。
スピニングロッドではリダクションガイドを別に見る
静荷重テストは、主にブランクが曲がる部分のガイド配置を確認する方法である。
スピニングロッドのリダクションガイドは、スプールから放出されたラインを収束させる役割があるため、ブランクの曲がりだけでは位置を決められない。
リダクションガイドの位置には、次の条件が関係する。
- スプール径
- スプール軸の角度
- リールシート位置
- ガイドの高さ
- ラインの太さや硬さ
- チョーク位置
この部分はFujiのGPSなどで仮配置し、チョークより先のランニングガイドを静荷重テストで確認する方法が使われている。
型番別スペーシング表でも、使用するリールやガイド構成がメーカーの想定と異なる場合は、リダクション部分を調整する必要がある。
日本で使われる富士工業の参考ガイドスペックとの違い
富士工業の参考ガイドスペックは、ロッドの種類と長さを基準に、推奨ガイドと位置を示している。
North Fork CompositesやRainShadowの表は、自社のブランク型番を基準にしている。
同じガイドスペーシング表でも、対象となる範囲が違う。
| 資料 | ガイド位置を決める基準 |
|---|---|
| 富士工業の参考ガイドスペック | ロッドの種類と長さ |
| North Fork Composites | 自社ブランクの型番 |
| RainShadow Build Print | 自社ブランクの型番と推奨パーツ |
| Rod Geeks | 自社ブランクの型番 |
| MHX | 自社ブランクの型番 |
日本ではブランクを購入しても、型番に対応したガイド位置や部品構成が付属しない場合が多い。
その場合は、富士工業の参考スペック、過去に組んだロッド、近い性格の完成品などから仮配置を作り、実際にブランクを曲げながら調整することになる。
海外の型番別表では、その仮配置をブランクメーカー側が先に用意している。
なぜ海外メーカーは型番別の資料を公開しているのか
複数の海外メーカーが、ブランク型番ごとのガイド位置を公開していることは確認できる。
一方、この情報提供が広がった理由を、メーカー自身がまとめて説明した資料は確認できない。
背景として考えられるのは、個人ビルダー向けにブランクを販売するだけでなく、完成までに必要な設計情報も提供する販売方法である。
RainShadowのBuild Printでは推奨パーツまで掲載されており、ブランク、ガイド、グリップなどを一つの構成として選べる。
メーカー表によって組み立て時の失敗を減らせるほか、同じメーカーや販売店が扱う関連部品へつなげやすいという面もある。
ただし、これらは公開されている資料から見える可能性であり、各メーカーが明示した共通理由ではない。
まとめ
North Fork Composites、RainShadow、Rod Geeks、MHXなどの海外メーカーは、ブランク型番ごとのガイドスペーシングを公開している。
North Fork Compositesは多数の型番を一覧表にまとめ、RainShadowはガイド位置に加えて推奨パーツを含むBuild Printを用意している。
型番別スペーシングでは、ブランクの長さだけでなく、テーパーやアクションを含めた配置を確認できる。
実際の組み立てでは、公開された位置へガイドを仮止めし、使用するリールやガイドを組み合わせた状態で静荷重テストを行う。
海外では、ブランクメーカーが型番別の設計値を提供し、ビルダーが自分の部品構成に合わせて最終調整するところまでが、ガイド配置の流れになっている。
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