古いロッドを分解してまで使い続けるなら、ブランクそのものに残す理由が必要になる。
海外のロッドビルド掲示板を見ていると、数十年前のブランクを何度もリビルドして使っている例や、廃番ブランクを探して新たに組もうとしている例がある。
そこで名前が出てくるのが、LamiglasのHoney Glass、古いG.Loomis IMX、Fenwick HMGやFeralite、Sage LL、初期Winstonなどである。
共通しているのは、最新ブランクより軽いから残されているわけではないことだ。
現在では少なくなったアクションや、昔にしか存在しない長さ・パワー・テーパーがあり、それを使うために古いブランクを残している。
Lamiglas Honey Glass
古いブランクのリビルド例で特に多く見つかるのが、LamiglasのHoney Glassである。
Lamiglasは古くからグラス製サーフブランクを製造しており、Honey Glass系のブランクは現在まで続く代表的なシリーズの一つである。
海外では昔のHoney Glassを現在の釣りへ合わせてリビルドしている例がいくつもある。
2022年には、1960年代後半のLamiglas Honey 1165を父親から受け継いだユーザーが、ロッドビルダーへ依頼して新しいガイドへ交換し、巻き直しと再仕上げを行っている。
1165は後のSB136-3Mに相当するとされ、当時このタイプのブランクを使っていたユーザーからは、長年使った経験や実際に投げられるルアー重量について具体的な回答が出ている。
古いガイドのままではなく、現在のPEラインを使えるガイドへ変更している点も、ヴィンテージロッドを実用品として残すリビルドらしい。
2023年には、ヤードセールで未使用のHoney Blank「01163」を入手し、新しくサーフロッドを組もうとしているユーザーもいる。
11ft 4inの古い未組立ブランクを、Abu Garcia 7000と組み合わせて2~4oz程度のプラグを投げるロッドとして使おうとしている。
さらに近年にも、古いLamiglas Honeyからリールシートとグリップを外して再製作している投稿がある。
古いHoney Glassは保存されているだけではなく、現在も実際に分解して組み直されている。
Honey Glassは最新ガイドを付ければ完成ではない
9ftのHoney Glassをリビルドし、古いガイドからFuji Kガイドへ交換したユーザーが、完成後に思ったように飛ばなくなったとして相談している。
別のビルダーは同じような9ft HoneyをKWガイドとNew Concept配置で組み、問題なくキャストできていると回答している。
古いブランクへ最新パーツを付ければ、自動的に性能が上がるわけではない。
ブランクの曲がりと、リール、ライン、ガイド高さに合わせて改めて配置する必要がある。
Honey Glassをリビルドする面白さは、昔のブランクに現代の部品を付けることではなく、昔のアクションを残したまま現在の道具へ合わせ直すところにある。
G.Loomis 旧IMX
G.Loomisの古いIMXには、Lamiglasとは違った理由で残されているブランクがある。
代表的なのがSU965。
海外掲示板では、15年以上使ったSU965をすでに3~4回リビルドしたユーザーが、そろそろ別のブランクへ交換したいとして代替品を探している。
これに対して、「もう一度リビルドすればいい」という回答が出ている。
理由は、そのブランクと同じフィーリングの代替品が思い当たらないからである。
3~4回組み直して、それでも同じブランクを使う。
リビルドする価値を示す例としてはかなり分かりやすい。
古いG.Loomisは最新モデルより高性能だから残るわけではない
古いG.Loomisについては、さらに興味深い会話がある。
古いG.Loomisを集めているユーザー自身が、現在のロッドの方が軽く、感度も高いと評価している。
それでも古いG.Loomisを集める理由として挙げているのが、現在ではあまり作られなくなった、
- 6ft
- 6ft 6in
- 独特のパワー設定
- 昔のMBR系テーパー
- 初期のテクニック専用モデル
などである。
昔のG.Loomisには、現在のラインナップにはない長さとパワー、テーパーの組み合わせが多数存在した。
近年にも、古いIM6 MBR784C、6ft 6inのキャスティングロッドを購入するかという話が出ている。
回答者は、昔の6ft、6ft 6in、7ftのMBRを何本も使ってきたうえで、784Cを現在でも探していると書いている。
短いロッドは藪の中を歩いて釣る場合にも使いやすく、現在の長尺化したバスロッドとは違った用途が残っている。
旧G.Loomisで残す価値があるのは、IMXという素材名だけではない。
現在の製品構成から消えてしまった型番そのものに価値がある。
古いG.Loomisのクランキングモデルも残っている
ガレージセールで6ft 6inのG.Loomis CBR783を購入したユーザーの投稿もある。
Moderate-Fastのクランキングロッドで、現在でもそのアクションを気に入っているという内容だった。
回答者の一人は、自身も25年以上前の6ft 6in G.Loomisを現在までクランキングロッドとして使い続けている。
短いクランキングロッドやMBR系など、現在の7ft以上が中心となったバスロッドとは違う構成も、古いG.Loomisを残す理由になっている。
Fenwick HMG
Fenwick HMGも外せない。
HMGは1973年に登場したシリーズで、Fenwickの歴史を代表するグラファイトロッドの一つである。
HMGはHigh Modulus Graphiteの略で、登場から50年以上経った現在もシリーズ名が残っている。
古いHMGについても現在まで使っているユーザーがいる。
海外掲示板では、30年以上前にカスタムビルドしたHMGのフライロッドを現在も所有している例がある。
Fenwickの古いサーフ系にも、現在では入手困難なモデルがある。
1980年代に存在したBig Surfstick系では、グラファイト製バットとグラス製ティップを組み合わせたモデルを探している投稿があり、すでに長期間廃番になっていることが指摘されている。
こうしたブランクは、現行HMGの中古を買うという話とは違う。
当時しか作られていない構造や長さが残っている。
Fenwick Feraliteと旧グラス
FenwickではグラファイトのHMGとは別に、古いグラスロッドも現在まで使われている。
1970年代に購入したFenwickのグラスフライロッドを、現在も時々使っているという投稿がある。FF806を所有しているという別のユーザーもいる。
1970年代製のFenwickグラスを現在も実釣で使う例や、家族がブランクから組んだFenwickを現在まで使用している例もある。
古いグラスが残っている理由として出てくるのは、現在のグラファイトとは大きく違う曲がりである。
古いFenwickのグラスロッドについても、現在のロッドとはキャスティングストロークが大きく違うことが指摘されている。
Feralite PLS72では、父親が使っていたロッドのガイドだけを交換し、できるだけオリジナルの状態を維持したいという修理依頼もある。
ビルダーは古いブラウンのスレッドや当時に近いガイドを探している。
旧Fenwickグラスでは、現代化するリビルドだけでなく、元の仕様をできるだけ残すレストアも行われている。
Sage LL
フライロッドではSage LLも名前が出てくる。
特にGraphite II世代のLLには、現在も強い人気がある。
Classic Fly Rod Forumでは、Graphite IIのLLとGraphite IIIのLLを比較したユーザーが、Graphite IIの方が深く曲がり、より柔らかいフィーリングを持ち、Graphite IIIはそれより速いと説明している。
389 LLや490 LLといったモデルも現在まで評価が残っている。
海外の会話では、389 LLについて昔のLight Lineシリーズを代表するモデルとして名前が挙がり、現在でも評価されている。
また、1980年代中盤のSage Graphite IIブランクを譲り受け、「今から組む価値があるか」という投稿も出ている。
回答者は実際に1980年代に同じ世代のブランクからロッドを組んでおり、現在も使っている。
現在のSageと比較すると、古いGraphite IIはティップの復元が遅く、キャスト後にも上下へ動き続ける。しかし、その遅いアクション自体を好むユーザーからは高く評価されている。
最新ロッドと同じ性能を求めているのではなく、最新ロッドとは違う動きを求めている。
Sage LLには「B」付きのカスタムビルドもある
Sage LLを見る場合、「B」の付いたモデルも面白い。
海外のヴィンテージフライロッドの会話では、「LLB」はSageが完成品として販売したロッドではなく、Sageブランクを購入したビルダーが組んだカスタムロッドを示すと説明されている。
このような古いカスタムビルドなら、
- グリップ
- リールシート
- ガイド
- スレッド
- フィニッシュ
を現在の仕様へ変更し、Sage Graphite IIのブランクを残すというリビルドもできる。
一方、状態の良いSage完成品はヴィンテージロッドとしての価値も持っているため、同じLLでも扱いは変わる。
Winston IM6
Winstonにも、現在まで残されている旧グラファイトがある。
Winstonは1970年代からグラファイトロッドを開発し、1980年代にはIM6グラファイトを使ったシリーズを展開している。
このIM6シリーズの滑らかでバランスの取れたアクションが、その後のWinstonを代表するロッドアクションにつながった。
特にIM6 9ft・5番・2ピースは、WinstonのLegacy Rodにも選ばれている。
現在のWinstonを何本も所有しているユーザーでも、昔の2ピースIM6だけは手放さないという話が紹介されている。
このブランクも、軽さや最新素材で現在のロッドに勝つから残されているわけではない。
昔のWinstonのMedium Actionと滑らかな曲がりそのものが残されている。
すべてのヴィンテージロッドを分解するわけではない
Sage LLやWinston IM6になると、ブランクとしての価値とは別に、完成品そのものの価値も出てくる。
オリジナルのグリップ、リールシート、スレッド、ケースなどが残った状態なら、古い部品だからという理由だけで全面的に交換する必要はない。
Fenwick Feraliteの修理例でも、依頼者は父親のロッドをできるだけオリジナルに近い状態で残すことを希望している。
リビルドに向いているのは、
- すでに過去にカスタムビルドされたもの
- グリップやガイドが大きく劣化しているもの
- 古いガイドでは現在のラインシステムと合わないもの
- 未組立のヴィンテージブランク
などになる。
状態の良いオリジナル完成品なら、必要な部分だけ直すレストアという方法もある。
リビルドする価値がある古いブランクの共通点
今回確認したブランクを並べると、残されている理由が見えてくる。
Lamiglas Honey 1165/SB136-3M
古いグラスサーフ特有の深い曲がり。
Lamiglas 01163などの旧Honey
現在も実用品として組まれている長尺グラス。
G.Loomis SU965
同じフィーリングの代替品が見つけにくく、複数回リビルドされている。
G.Loomis旧IMX・MBR
現在では少ない短い長さと、独特のパワー・テーパー。
Fenwick旧HMG
初期グラファイト時代に作られた、現在とは異なるモデル構成。
Fenwick Feralite・旧グラス
現代のFast系ロッドとは異なる深い曲がり。
Sage Graphite II LL
柔らかく深く曲がるLight Lineアクション。
Winston IM6
昔のWinstonを代表する滑らかなアクション。
素材が古いこと自体が価値になっているわけではない。
現在では同じものを買えないことが重要になる。
最新ブランクの方が優れている部分も多い
古いG.Loomisについての会話では、現在のロッドの方が軽く、感度も高いという評価も出ている。
古いSage Graphite IIと現代のSageを比較したユーザーも、現代ロッドの方がティップの復元は速いと書いている。
グラスと現在の高弾性カーボンを比較すれば、重量差はさらに大きくなる。
それでも昔のブランクを使う人がいる。
残されているのは、単純な性能順位ではない。
短いロッド、深く曲がるロッド、復元の遅いロッド、昔のテクニック専用テーパーなど、現在の製品構成では少なくなった性格である。
古いブランクを探すなら型番まで確認したい
ヴィンテージブランクでは、ブランド名だけではかなり範囲が広い。
例えばG.Loomisなら「昔のIMX」だけではなく、
- SU965
- MBR784C
- 旧6ft・6ft 6inのMBR系
- CBR783
など、型番によって残す理由が違う。
LamiglasならHoney Glassの中でも、
- 1165
- SB136-3M
- 01163
など、サーフ用の長尺モデルが実際に現在も話題になっている。
Sageなら、
- 389 LL
- 490 LL
- Graphite II LL
といった世代と型番まで見る必要がある。
古いロッドを見つけたときは、メーカー名だけではなく、ブランクの型番と世代まで確認すると、そのロッドを残す理由が見えやすくなる。
まとめ
海外で現在もリビルドされている古いブランクには、Lamiglas Honey Glass、G.Loomis旧IMX、Fenwick HMGやFeralite、Sage LL、Winston IM6などがある。
Lamiglas Honey 1165のように、古いガイドを現在のラインに対応させるためリビルドされるものがある。
G.Loomis SU965のように、3~4回組み直しても同じブランクを使い続ける例もある。
Sage Graphite II LLやWinston IM6では、現在のロッドより遅く、深く曲がる昔のアクションそのものが評価されている。
最新ブランクと比べれば、重量、感度、復元速度で古いブランクが不利になる場合もある。
それでもリビルドされるのは、現在では同じ仕様を簡単に買えないからである。
古いブランクの中には、部品を交換してでも残す価値のあるものがある。
その価値は、昔の高級ロッドだったという名前だけではなく、現在のブランクには残っていない長さ、テーパー、アクションにある。

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