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海外ロッドビルドで使われるリールシートのアーバー材

ロッドビルド

日本のロッドビルドでは、リールシートの隙間を埋める材料として、ウレタンアーバーやテサテープがよく知られている。

一方、海外のロッドビルドでは、普通のマスキングテープ、ポリウレタンアーバー、グラスファイバーメッシュなど、複数の材料が一般的な施工方法として紹介されている。

単に材料の種類が違うだけではない。隙間の大きさ、作業性、重量、耐水性、ロッドに掛かる負荷によって使い分けられている。

アーバーはリールシートを固定する部品ではない

アーバーは、ブランクとリールシートの内径差を埋め、リールシートをブランクの中心に保持するための部材である。

ここで勘違いしやすいのが、リールシートを固定しているのはアーバー材そのものではないという点である。

海外の大手ロッドビルド用品店Mud Holeは、アーバーの主な役割を芯出しと位置保持、実際にブランクとリールシートを固定するものを二液性エポキシ接着剤と説明している。

したがって、アーバー材の強さだけを比較しても意味は薄い。

アーバーの周囲に接着剤が十分に入り、ブランクとリールシートの間に空洞のない接着層を作れるかが重要になる。

海外で使われるアーバー材

海外では普通のマスキングテープが使われている

Mud Holeは、普通のマスキングテープをリールシート用アーバーとして紹介している。

ブランクへ一定間隔でテープを巻き、リールシートが軽く通る太さまで外径を調整する。テープとテープの間には隙間を残し、組み立て時にその部分をエポキシで満たす。

テープはリールシートを中心に保持するだけで、テープ間のエポキシがブランクとリールシートを接着する構造である。

Mud Holeはマスキングテープを、安価で施工が早く、どのようなブランク径にも合わせやすい方法としており、現在も一般的なアーバー材として扱っている。

日本で使われるテサテープのような強粘着テープではなく、普通の紙製マスキングテープを使っている点は、日本のロッドビルドから見ると少し意外である。

マスキングテープは本当に長期間使えるのか

海外掲示板でも、マスキングテープの耐久性については繰り返し議論されている。

BassResourceでは、ロッドビルドを始めようとする質問者が、Mud Holeの動画でマスキングテープを使っているのを見て、「本当にテープでよいのか」と疑問を投げかけている。

これに対し、複数のビルダーが、テープをエポキシで完全に覆えば水は入らず、長期間使用できると回答している。数十年間マスキングテープを使用し、リールシートが緩んだことはないという経験も複数報告されている。

一方で、マスキングテープを使ったリールシートの不具合を見たというビルダーもいる。

2024年のRodbuilding.orgでは、マスキングテープの粘着剤が経年や低温で劣化することを問題視する意見が出ている。ただし、その回答者も、実際の保持力を生み出しているのはテープの粘着剤ではなく、周囲を覆うエポキシであることは認めている。

つまり、海外で使われるテープアーバーは、粘着力だけでリールシートを固定する施工ではない。

マスキングテープを位置決め材として使い、エポキシで全体を接着・密閉する施工である。

青い塗装用テープは使わない

海外掲示板では、普通のマスキングテープと、青いペインターテープも区別されている。

ペインターテープは塗装後に剥がしやすいよう、粘着力が弱く作られている。また、製品によっては表面処理の影響でエポキシをはじく可能性も指摘されている。

そのため、Rodbuilding.orgではアーバー材として使わない方がよいという意見でほぼ一致している。

海外でマスキングテープが使われているからといって、どのような紙テープでもよいわけではない。

ポリウレタンアーバー

ポリウレタンアーバーは、筒状に成形された軽量なフォーム材である。

外径はリールシート内径に合わせて選び、中心穴をリーマーでブランク径まで広げて使用する。

Mud Holeでは、先にポリウレタンアーバーをリールシート内部へ接着し、硬化後に中心穴を少しずつ削る方法を紹介している。最初にリールシートへ固定することで、加工中にアーバーを保持しやすくなる。

ポリウレタンアーバーの利点は、軽量で、リールシート内部を均一に支持しやすいことである。

マスキングテープで大きな内径差を埋める場合、多量のテープと接着剤が必要になる。ポリウレタンであれば、大きな隙間でも比較的軽く仕上げられる。

一方、内径を正確に削る必要がある。

中心穴が斜めになるとリールシートの芯がずれ、削りすぎるとブランクとの間に再び隙間ができる。

Mud Holeはポリウレタンアーバーを感度重視のビルドに適した材料として紹介しているが、これは販売店側の評価であり、他の材料との客観的な感度比較試験までは確認できない。

グラスファイバーメッシュテープ

海外のアーバー材で特に特徴的なのが、石膏ボードの施工に使われるグラスファイバーメッシュテープである。

使い方はマスキングテープに近く、ブランクへ巻いて外径を大きくする。しかし、紙ではなく網状になっているため、エポキシがメッシュを通過し、ブランクとリールシートを直接接着できる。

Mud Holeは、耐水性と長期間の圧縮への強さを理由に、ヘビーデューティーなソルトウォーターロッドや、最大限の接着強度を求める用途へグラスファイバーメッシュを推奨している。

ただし、メッシュの外側からエポキシを塗るだけでは、内部まで完全に浸透しない場合がある。

一度必要な長さを巻いて外径を確認し、その後テープを戻しながら、エポキシを入れて巻き直す施工が必要になる。

マスキングテープより強固な接着構造を作りやすいが、作業は明らかに面倒になる。

海外掲示板では材料をどう使い分けているのか

2024年のRodbuilding.orgでは、マスキングテープ、グラスファイバーメッシュ、ポリウレタンフォームについて、2ページにわたり複数のビルダーが意見を出している。

回答を見ると、一つの材料だけをすべてのロッドへ使う人ばかりではない。

あるビルダーは、グラスファイバーメッシュを4周程度巻けば埋まる隙間にはメッシュを使い、それ以上の隙間にはポリウレタンフォームを使うと回答している。

別のビルダーは、リールシート内径をできるだけブランク外径へ近づけ、少量のメッシュとエポキシだけで固定することを重視している。大型のハリバット用ロッドでは、接着強度とブランクの保護を考え、エポキシを含浸させたメッシュを選んでいる。

一方、マスキングテープを長年使い、失敗したことがないという回答もある。

反対に、マスキングテープよりポリウレタンの方が軽く、経年劣化への不安も少ないとして、フォームを優先するビルダーもいる。

海外で確認できる使い分けは、次のように整理できる。

条件使用される材料
小さな隙間を簡単に調整したいマスキングテープ
大きな隙間を軽量に埋めたいポリウレタンアーバー
高い接着強度と耐水性が必要グラスファイバーメッシュ
カーボンチューブなど特殊なハンドル専用フォーム・コンポジット用アーバー

材料の好みだけではなく、隙間の大きさとロッドに掛かる負荷が選択に影響している。

マスキングテープとメッシュの違い

マスキングテープとグラスファイバーメッシュは、どちらもブランクへ巻いて外径を調整する。

しかし、接着構造は異なる。

マスキングテープでは、テープとテープの間に入ったエポキシが主な接着部分になる。テープ部分は主にリールシートの位置を保持するスペーサーである。

グラスファイバーメッシュでは、エポキシが網目を通過するため、メッシュを巻いた部分でもブランクとリールシートを接着できる。

この違いから、高負荷ロッドや耐水性を重視する用途ではメッシュが選ばれる。

一方、一般的なロッドであれば、正しくエポキシを入れたマスキングテープでも長期間使用されている。

メッシュがマスキングテープの完全な上位互換ではない。必要な強度と作業性を比較して使い分けられている。

日本で使われるアーバー材との違い

日本のジャストエースは、リールシートやグリップ内部の隙間を埋める方法として、ウレタンアーバー、コルクアーバー、テサテープ、タコ糸を紹介している。

隙間が大きいリールシート内部にはウレタンアーバー、隙間が小さい場合にはテサテープやタコ糸を推奨している。ウレタンアーバーは、リールシートの両端と中央に配置する3点止めが基本となっている。

テサテープは、ミリ単位の細かな調整に使える強粘着・耐熱性のテープである。普通のマスキングテープとは異なり、ロッドビルド用のかさ上げ材として日本で流通している。

日本と海外のどちらにも、テープ系材料と専用アーバーは存在する。

ただし、一般的に紹介されている材料の顔ぶれが違う。

日本では、専用のウレタンアーバーやテサテープが中心である。一方、海外では普通の紙製マスキングテープと建築用グラスファイバーメッシュが、専用アーバーと並ぶ正式な施工方法になっている。

海外では対象魚種によって強度を変えているのか

海外の販売店が、グラスファイバーメッシュを重量級ソルトウォーターロッドへ推奨していることから、対象魚種やロッドに掛かる負荷がアーバー材の選択へ影響していることは確認できる。

実際に海外掲示板でも、ハリバットやツナなど大型魚用ロッドで、メッシュテープを使った事例が出ている。

ただし、海外でアーバー材の選択肢が広がった理由を、大型魚用ロッドの多さだけで説明することはできない。

ホームセンターで入手できるマスキングテープや建築用メッシュをロッドビルドへ流用する文化、カーボンチューブを使ったハンドル構造、海外メーカーが販売するアーバー製品の違いも関係している可能性がある。

ここは今後、海外の対象魚種とハンドル構造まで含めて調べる必要がある。

まとめ

海外のロッドビルドでは、普通のマスキングテープ、ポリウレタンアーバー、グラスファイバーメッシュ、専用フォームなどが使われている。

一般的なロッドでは、施工が簡単で径を自由に調整できるマスキングテープ。

大きな隙間を軽量かつ均一に埋める場合は、ポリウレタンアーバー。

強い負荷と水への耐久性が求められるソルトウォーターロッドでは、エポキシを含浸させたグラスファイバーメッシュ。

このように、海外では隙間の大きさ、作業性、重量、耐水性、ロッドに掛かる負荷に応じてアーバー材が使い分けられている。

日本との最も大きな違いは、普通のマスキングテープと建築用グラスファイバーメッシュが、専用アーバーと並ぶ一般的な施工方法として定着していることである。

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